「氷河期世代は一番納得できない流れだと思います」
「給料の高い状態を維持したいということであれば、頑張って能力を評価されて、役職を目指していっていただきたい」
安心安定のイメージが強い公務員において、異例の措置をとる和泉市役所。能力で人を評価したいという気持ちは納得がいく一方で、公務員の仕事について、能力をどのように評価するのかは疑問が残るが……。
「評価の手法の1つが人事評価制度です。これ自体はどの自治体にもあるのですが、今回の給与の制度の改革と併せて、人事評価に関しても、いろいろ見直しを行なって適正に評価できるような制度設計を組みました」
このように新たな試みを入念な準備のもとに実行している和泉市役所。だがこの制度については新卒を優遇するせいで、既存の職員が割を食うのでは? という指摘がSNSで相次いでいる。
〈うちの自治体も40歳以上の昇給額を減らして、その原資を新卒~20代の基本給アップに充ててます。氷河期世代は一番納得できない流れだと思います〉
〈なんだかなぁ…氷河期世代を蔑ろにしすぎだろこの国は…〉
〈年寄りは冷遇します、新卒だけ優遇します、だとロクな結果にならないだろうに〉
この点について聞くとやはり、制度改革によって一部では軋轢も生じたという。
「導入前には、労働組合ともかなりの協議を重ねました。特に非役職職員の中には、『もう給与が上がらないのか』という不安や不満の声もありました。確かに従来の制度のままで、年齢とともに給与が上がると思っていた人にとっては、実質下がっているとも言えるからです」
そこで和泉市では、こうした職員のために現行給与を保障する制度を導入し、給与減を回避。ただし、それでも「モチベーションが下がる」といった声はゼロではないようだ。