忙しさとは「状態」ではなく、「心の感じ方」
現代人は年々、忙しくなっている。そんな現実がこのデータから読み取れるわけです。
しかし本当にそうなのでしょうか? つまり、現代人は、実際に忙しくなっているのでしょうか?
冷静にとある統計データを見てみると、驚くべきことに気づきます。
総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」によれば、2016年と比較して、「休養・くつろぎ」の時間が1日平均20分も増加しているというデータがあります。そして同調査では、減少傾向にあった睡眠時間が増加に転じ、1日平均14分増加していることが判明しました。
さらに、厚生労働省のデータによると、1973年から2023年の50年間で、労働者1人あたりの年間総実労働時間は約400時間も減少しているのだとか!
言い換えれば、私たちの「自由時間」は確実に増えているわけです。
それなのに、現代人が年々「忙しくなった」「時間が足りない」と感じているのはなぜでしょう?
現在私は、会社を経営しながら、コンサル業と主婦業もこなし、かつ読書インフルエンサーとしての顔も持っています。年間の読書冊数は240冊。1.5日に1冊のペースで読んでいることになります。
ただし私は前々からこんなにも潤沢に「読書する時間」があったわけではありません。
それどころか、時間管理が全くできない人間でした。
時間を守れない。予定を守れない。計画性がない。大事なことをすぐ忘れる。何をするにも時間がかかる。やらなきゃいけないことを先延ばしにする。
……「何重苦だよ」と突っ込みたくなるくらい、時間の糸が絡まった人生を送っていたのです。転機が訪れたのは、よく相談をさせていただいている先輩とごはんに行った時のこと。
「やりたいことはあるんですが、生活するのが精一杯で……なかなかやりたいことに手がつけられません」そう私は先輩に愚痴をこぼしました。
すると先輩は真剣なまなざしで私にこう言いました。
「いいか、金は無限。でも、時間は有限だ」