「100年前の世界恐慌と同じ」「今後3年間でNYダウは約10分の1に」トランプ経済が招く未曾有の“金融大暴落グレートリセット”における最悪のシナリオ「今後、米国株全体がV字回復することは望めないだろう」
アメリカ優先を公言するトランプ大統領の経済政策によって引き起こされると予想される未曾有の金融大暴落「グレートリセット」。ここでの株式暴落は100年に一度レベルのものだと指摘するのが、金融コンサルタントの岩永憲治氏だ。
2025年から3年にかけて起きる最悪のシナリオとはいったいどんなものなのか……。
岩永氏の著書『トランプ経済 グレート・クラッシュ後の世界』より一部抜粋、再編集してお届けする。〈全3回のうち1回目〉
トランプ経済 #1
日本もグレートリセットに巻き込まれるシナリオ…
日経平均はNYダウの相場展開と一蓮托生となるだろう。日経平均もNYダウが最高値を目指すのに合わせるように、2024年には、1989年のバブル時の最高値を超えて、7月には4万2200円を超える史上最高値をつけた。8月にひとたび下落はしたものの、12月にはNYダウの上昇とともに再び4万円を超えた(図3)。
しかし結局はNYダウと同様に、2025年1月以降、2027年にかけての3年間で、「金融大暴落グレートリセット」に巻き込まれるだろうというシナリオを私は描いている。
図3 日経平均株価の2009年底入れ以降の月足ローソク足チャート
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大恐慌時の米国経済は、リセッションから大不況に突入し、約9500行にも及ぶ銀行の破綻・倒産から金融恐慌を引き起こした。この原稿を書いている2025年の2月においては、幸いなことに“暴落”と言えるほどのクラッシュの兆しを示現するには至っていない。
ただ歴史を振り返ると、1929年から起きた世界恐慌の爪痕は、その後も長く残り続けた。一度クラッシュが起きてしまうとその回復には途方もない時間がかかるものである。
1929年から1933年にかけて世界を巻き込んだ大恐慌から米国経済が立ち直り、本格的に繁栄を取り戻し、NYダウ平均株価が当時の高値を超えるまでに回復するのには、なんと25年もの長い歳月がかかった。これは誰一人、予想もできなかったことであった。
それと同じ規模の深刻な経済危機が米国に起こり、2025年から2030年まで米国株は暴落するだろうと私は予測している。最終的には世界恐慌のような状況に追い込まれるかもしれない。この間に、米国株全体がV字回復することは望めないだろうと私は思っている。
#2 に続く
文/岩永憲治
トランプ経済 グレート・クラッシュ後の世界
岩永憲治
2025/3/26
1,870円(税込)
224ページ
ISBN: 978-4087861419
リーマン・ショックに匹敵する経済のクラッシュは来るのか? 岩永憲治・著『トランプ経済 グレート・クラッシュ後の世界』2025年3月26日 、集英社より 発売。
2023年に多くのエコノミストが不況を予測する中、2024年のバブル相場を言い当てた著者が、2025年から2028年に至る暴落相場を予測する。
◆内容紹介
トランプ大統領の就任以来、関税の大幅な引き上げ をはじめ、アメリカ中心の経済政策に振り回される世界の国々。コロナ禍の期間 に世界にばらまかれたお金は、株式市場に空前のバブルを生み出し、世界中でインフレを高進させた。貧富の差が拡大し、膨らんだAIバブルも崩壊しつつあるが、早めの対策を打てば自分の財産は守れるはず……。そんな著者の思いが込められた本書。
もはや世界経済のグレート・クラッシュ (金融暴落) は避けられないにしても、ITバブル崩壊後にグーグルやアマゾンなどの後の巨大企業が生き残ったように、次世代に生き残る企業の芽はすでに芽吹いている。それは、どんな業種のどんな企業なのか?
トランプ大統領の進める新しいエネルギー政策など、グレート・クラッシュ後の世界経済のトレンドもすでに筆者の頭の中には描かれている。未来の世界経済の変化や自分の投資を考えるヒントにもなる、著者渾身の一冊。