必要なのは、旧態依然とした自治体の体質改善

――地域間連携がなかなか進まない理由は?

最大の障壁は、やはり「縦割り行政」の構造でしょう。自治体ごとの縄張り意識が根強く、どうしても近隣地域をライバル視してしまう。

しかしマーケティングの視点で見れば、「有名観光地のすぐそば」といった立地は、むしろ強力なアピール材料です。

――自治体の古い体制が観光振興の足かせになっていると。

そう感じる場面は多いです。情報発信に関しても、いまだにアップデートがされておらず、「時が止まっているのか?」と思うことすらあります。

観光客の多くが自力で調べて行動する「個人手配旅行(FIT)」の時代に、更新されていない観光サイト、スマホ非対応のページ、閉業した店舗情報のまま……というケースが未だに多い。

これではチャンスを逃してしまいます。「探してもらう」のではなく、「自然と見つけてもらう」導線設計が必要です。

おごと温泉(写真/AC)
おごと温泉(写真/AC)

――価格設定においてもできることはありますか?

もちろんです。たとえば、時間帯による価格差、予約制、混雑緩和のための入場制限など。ジブリパークや恐竜博物館のように時間指定のシステムは効果的ですし、姫路城のように市民と観光客で料金を分ける「二重価格」もひとつの工夫です。

さらに、あしかがフラワーパークのように開花状況によって料金を変えるなど、需要に応じた料金設定はあって然るべきかと思います。

姫路城((写真/AC)
姫路城((写真/AC)