地元の不動産業者は「民泊として利用するつもりなのかもしれません」

この7階建ての賃貸マンションは、現在約20人が入居している。男性は不本意ながら転居を決めたが、闘おうとしている住人もいるという。

「値上げ通知があった後、エントランスや廊下で住人と会うと、『どうする?』という話になりました。数十年住んでいる高齢の女性とは長く話し、『怒っている住人は他にもいるし、1人1人で抵抗するのではなく、一緒に動きましょう。住人を説得することに協力してほしい』と言われました。しかし私は転居を決めてしまったので……」(男性)

マンションのある駅周辺は、古い街並みが残っている。しかし2022年に再開発が認可され、駅前に38階建てのタワーマンション型大型複合施設が建設されることが決まった。

<50年以上にわたって多くのお客様にご利用いただき、感謝申し上げます>――2月末に閉店した老舗居酒屋の店頭にこう貼られているが、今、再開発地に当たる店舗が次々と閉店している。

老舗居酒屋の閉店の告知(写真/集英社オンライン)
老舗居酒屋の閉店の告知(写真/集英社オンライン)
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地元の不動産業者は、A社の家賃値上げの目的を、こう推測する。

「出せるはずのない高額の家賃を要求して、住人全員を追い出し、民泊として利用するつもりなのでしょう。一部屋1泊6000円として、20日間も稼働すれば、今の家賃収入より1.5倍稼げると勘定しているのかもしれません。

空いた部屋から順次、民泊にすれば、残っている住人の居心地は悪くなる。借り主は法律で保護されているとはいえ、実際に住み続けるのは大変でしょう。そして再開発が進めば周辺の地価が上がり、何年か先に高値で転売できると思っているのかもしれません」

A社の連絡先として書かれた携帯電話番号に連絡しても、現在まで回答は得られなかった。

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取材・文/坂田拓也 集英社オンライン編集部ニュース班