SNS上でチケットの売買自体が犯罪になる可能性 

その後、PayPay上にて受け取り通知が確認できたと表示が出たので、相手からの連絡を待っていたという。

「チケット情報を待っていたのですが、何も返事が来ないんです。どんどん不安になってきて、21時までに連絡をくださいと送ったのですが、まったく音沙汰なく。ここで詐欺られたと初めて自覚しました。

PayPayの問い合わせに電話して相談してみたところ、警察からの要請があれば情報を開示できるとのことでした」

詐欺師とAさんの実際のやりとり(Aさん提供)
詐欺師とAさんの実際のやりとり(Aさん提供)

その後、警察に相談しに行ったが、警察からは思いもよらない反応が。

「『SNS上でのチケットの売買自体が犯罪になる可能性もあり、刑事事件にしたら(違法取引で?)あなたも罪に問われる可能性がありますよ。それでも被害届を出しますか?』と言われました。そこで泣き寝入りするしかないと思いました」

今回はPayPay先払いでの詐欺だったが、こうしたチケット詐欺ではコンビニ入金を指示してくる場合もあるという。

「今回支払った9万2000円は勉強代だったとはいえ、こんな大金を払ったのに大谷翔平選手を見られないなんて悔しいと思い、懲りずに別のチケットを譲ってくれるアカウントを探しました」

Xで検索してみると、チケット譲渡や転売をうたったさまざまなアカウントが出てくる。藁にもすがる思いで一件一件連絡をしていったそうだ。

「いろいろなアカウントとやり取りをしていたところ、どこもPayPay前払いばかりで、さらに身分証明書の手口なども同じだったので、詐欺アカウントだと見抜くことができました。でも一件だけ新しい手口があり、これには騙されそうになりました」