「政府も各省庁も中小企業をなぜ救わないのか理解できない」
コメ不足に代表されるような物価高騰の影響もあり、賃上げの見通しのいい大企業に人材が加速しているという。
「そのため、中小企業ほど人手不足が深刻化しており、せっかくビジネスチャンスが到来しても、人手不足を理由に仕事の依頼や注文を断らざるを得ないという話も聞かれるようになってきているのです」
人手が不足するならば、人手に頼らない方法としてデジタルトランスフォーメーション(DX)などの機械化を進めることも重要とされているが、そうした中長期的な余力があるのも結局、大手企業というわけだ。
「つまり、大手企業はDXで効率化を進めるだけでなく、賃上げで優秀な人材も確保しているので、大手企業と中小企業との間で“競争力格差”が開くといった、厳しい状況が続いています」
実際、ネット上でも格差の広がりを嘆く声が多くあがっている。
〈初任給アップによって、もともとすでに格差がすごいのに、さらに格差が広がる〉
〈ますます中小に就職する人が減る。昔から言われてきた通り、産業を下支えしてきた技術は無くなっていき、日本の産業はオシマイになるだろうな……〉
〈この非常時、政府も各省庁も中小企業を救わないのか理解できない〉
〈これは格差拡大ですね 国は何を考えているのやら…はぁ〉
この状態が続いてしまうと「賃上げの二極化が進むとみられる」と石川氏は指摘する。そして二極化が進んだ際に待ち受けている未来とは……。
「賃上げをできる企業には優秀な人材が集まり、一層ビジネスを拡大していきます。一方で賃上げができない企業は人材流出が続き、会社の業績が悪化します。つまり、賃上げができない企業は、“賃金低迷”と“人手不足”の悪化という悪循環に直面し、何か起死回生の手を打たない限り、経営危機を迎えてしまうことも否定できません」