日本は「唯一無二の“超”経済低迷国家」
実際、この数値が意味するものとは何なのか。そして背景にはどのような原因が潜んでいるのだろうか。
第二次安倍内閣時に内閣官房参与を務めた京都大学大学院(都市社会工学専攻)の藤井聡教授に話を伺った。
まずは今回、韓国より下回ったGDPの数値をどう受け止めているのか。
「40代以上の日本人にとってみれば、かつて隣国の韓国は日本よりも圧倒的に貧しい後進国でした。しかし、それも昔の話。数年前から大卒初任給の水準は韓国に追い抜かれており、日本経済が低迷し続けている今日、1人あたりのGDPが韓国に抜かれるのは時間の問題でした。だから『ついにそのときが来た』という印象です」(藤井教授、以下同)
とはいえ、この結果がどれほど危機感を覚えるべきことなのか、ピンとこないのが正直なところ…。この数値が意味するものとはいったい何なのか。
「日本は過去25年以上、全く成長せず、平均賃金がなかなか伸びないどころか、むしろ徐々に下落してきている。それを当たり前のように感じている国民が多いですが、こんなに低迷しているのは世界広しといえど我が国一国だけなのです。
5%に引き上げられた1997年以降の経済成長率は、ダントツの最下位を記録しています。日本の1997年以降の平均経済成長率はわずか0.3%。これは10年経っても3%しか成長しないという恐るべき低水準なんです。
対して世界全体は年平均で4.7%、10年で1.51倍に拡大するスピード感で成長を続けています。日本に次ぐ『成長率ワースト2位』のギリシャですら、年平均2.1%、10年で21%も成長しています。一方で韓国の平均成長率は5%強、これは世界平均より幾分高い程度で、とりたてて韓国が『超絶な成長国家』でもないわけです。
結論、韓国に追い抜かれたのは日本が『唯一無二の“超”経済低迷国家』であることの必然的帰結であり、いかに経済成長できていないかということを、実感をもって理解すべきなのです」