自らを神格化し唯一無二の存在へ

たとえば、チャンピオンであっても定番の仕事であるバラエティ番組の雛壇に座ることをしなくなった。

つまり「大勢の芸人の中の一人」になることを避けるようになったのだ。自分と「その他」に明確な線を引いた。

象徴的だったのが、2024年12月19日放送のバラエティ特番『浜田 大吉 濱家主催 ツッコミ芸人総会2024 大忘年会』への出演を拒否したエピソードだ。

同番組は、「ダウンタウン」の浜田雅功、「博多華丸・大吉」の大吉、「かまいたち」の濱家隆一をメインに据え、大勢のツッコミ芸人が集まる内容だ。

粗品は出演依頼を断った理由として、番組タイトルが『浜田 大吉 粗品』だったら…などと発言していた。

それは自分の格や見え方を意識していたからにほかならず、さらに『M-1』で下した「かまいたち」の下に見られるポジションや扱いを嫌ったのではないだろうか。

いずれにしても、自分自身で「粗品」のタレント価値を高める判断を行っていると考えられる。

的確なコメント力、『M-1』『R-1』を獲ったというおもしろさの証明、さらにYouTubeチャンネルでも成功を収めるなど、文句のつけようがない実績を背景とし、さらにあえて「腫れ物に触る感」を作ることで、粗品は自らを神格化させることに成功したのだ。

松本人志の復帰が難航し、浜田雅功も体調不安が報じられるなど、お笑い界に地殻変動が起きようとしている。

頂点に立っていたダウンタウンが“名誉会長化”しつつある中、次に訪れるのは、千鳥、かまいたちらを飛び越えて「粗品時代」であると推察する。

もしくは千鳥、かまいたちを囲む派閥と、霜降り明星や粗品の派閥できっぱり分かれる可能性も考えられる。

文/田辺ユウキ