どこにお金をかけるかが大事

「(鉄骨の値段を)超えるならやっぱり、説明ができないなと。たしかに金額だけを見ると結構あるが、あの規模の建築で坪単価が約130万円は、専門家からすると安いと思っている。あの大きさや性能で344億円。いまの物価上昇の中でゼネコンさんが工夫をしてくれて、額を抑えてくれた」

1970年大阪万博の際に岡本太郎がデザインした「太陽の塔」は総工費6 億3千万円だった
1970年大阪万博の際に岡本太郎がデザインした「太陽の塔」は総工費6 億3千万円だった
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「何の印象も残らない万博にならないよう、どこにお金をかけるかが大事だ。(会場建設の)ほかのところへの予算配分を少しずつ抑え、リングにどのぐらいお金をかけるか考えた。リングは日よけの屋根でもあるが、上にのぼれるし、ランドマークにもなる。

『大阪の万博と言えばこれだ』とわかりやすく伝わる。単に機能的な建物というだけでなく、どれだけ世界に伝わるかも含めた額としては、決して高くないと思っている」

藤本は大屋根リングの上で盆踊り大会などを開き、「世界のつながりを体感できる特別な場所になれば」と考えている。

写真/shutterstock

『ルポ 大阪 関西万博の深層 迷走する維新政治』(朝日新聞出版)
朝日新聞取材班
『ルポ 大阪 関西万博の深層 迷走する維新政治』(朝日新聞出版)
2025年2月13日
924円(税込)
272ページ
ISBN: 978-4022953001

大阪・関西万博が2025年4月、ついに開幕する。各国パビリオンでの展示のほか、有名歌手のコンサート、大相撲、花火大会などさまざまな催しがあり、お祭りムードが醸成されるだろう。
しかし、本当にそれでいいのだろうか。会場予定地での爆発騒ぎや、建設費の2度の上ぶれ、パビリオン建設の遅れなど、問題が噴出し続けた。
巨額の公費をつぎ込んだからには、成果は厳しく問われるべきだ。朝日新聞取材班が万博の深層に迫った渾身のルポ。

◆目次◆
第1章 維新混迷
第2章 膨らみ続けた経費
第3章 海外パビリオン騒動
第4章 夢洲が招いた危機
第5章 万博への直言

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