最初の事件を起こしたのは大学2年生だった20歳の頃

柳本被告は大学生時代の2016年から6年の間、当時8歳から12歳までの女児計10人に性的暴行を加えたなどとして起訴された。検察側の冒頭陳述では、休日などに府内の団地などをうろついてターゲットの女児を見定めるとあとをつけて自宅を特定、長期間にわたって被害者と家族の生活・行動パターンを監視、記録していた。被告はこのストーカー行為を“探偵ごっこ”だったと公判で語っている。

大阪地方裁判所(写真/AC)
大阪地方裁判所(写真/AC)
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また、女児が家族のいない自宅に帰宅した直後に、電気設備の修理業者を装って侵入するなど、計画的かつ執拗な手口が明らかにされた。

柳本被告は、女児にタオルで目隠しをして「殺すぞ」「家族に話したら家族も殺す」などとカッターナイフをちらつかせて脅したうえ犯行に及んでいた。

最初の事件を起こしたのは柳本被告が大学2年生だった20歳の頃で、卒業後、民間企業を経て病院の事務職員に転職してからも犯行を重ねていた。

この日の判決で伊藤裁判長は「社会に守られるべき存在の女児を狙って人格の根幹を傷つけた卑劣で悪質な犯行。最も安心できるはずの自宅で突然被害に遭った女児の受けた恐怖や精神的苦痛は想像を絶する」と言及。

論告で無期懲役を求刑した検察に対し、弁護側は「被告は性加害をやめるために治療を受けようと思っている」などとして有期刑にするよう求めていたが、伊藤裁判長は「犯行には高度の計画性があり、嫌がる様子を認識しても陵辱しようとする強固な犯意が認められる。女児に対する性的加害を長期間にわたり数多く積み重ねている以上、有期刑の範囲内にとどめるのは困難」と無期懲役を言い渡した。

2022年に逮捕された際、移送される柳本被告(NHKより)
2022年に逮捕された際、移送される柳本被告(NHKより)