「社会的孤立」は1日15本のタバコと同レベルの健康被害に相当…脳のコンディションを下げ、認知症と生活習慣病リスクを高める「孤独」という名の現代病
新型コロナウイルス蔓延の長期化によって、孤独や孤立が現代の社会問題として顕在化している今。他者との交流が少ない人は、認知症の発症率がおよそ8倍にもなるという研究結果もあるというが、本当なのだろうか。
『「脳にいいこと」すべて試して1冊にまとめてみた』より一部抜粋、再構成して、「孤独」が及ぼす健康被害などについてお届けする。
『「脳にいいこと」すべて試して1冊にまとめてみた』#3
実は日本にもいる「孤独・孤立対策担当大臣」
日本でも2021年に、世界で二番目となる「孤独・孤立対策担当大臣」が任命されました。NPOとの関係の強化や実態把握調査、情報発信などを行っているようです。
2023年に実施された内閣官房による調査では、20~50代において孤独感が、「たまにある」「ときどきある」「常にある」と答えた人の割合が他の年代よりも高く、その割合は約45%に上りました。
男女別で見ると、男性では30代及び40代で、女性では20代で高いという結果になりました。
また、OECDの調査によれば、友人、同僚、その他のコミュニティと「ほとんど付き合いがない人」の割合は、日本では約15%。平均の2倍以上。加盟国のトップでした。
アメリカやオランダ、ドイツなどでは3、4%でしたので、日本の突出した人とのつながりの希薄さが示されています。
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孤独は、脳に関わる病気も含む生活習慣病と大きく関係があります。
会話がなく長時間過ごしていると、使われていない脳の神経細胞が少しずつ衰えてしまいます。
他者と交流がない孤独状態になると脳のコンディションが下がり、将来的には認知症などのリスクが高まります。
つまりは、孤独の脳に対する影響は、現在の脳のコンディション低下に加え、将来的な認知症などへのリスクにも及ぶのです。
そもそも、孤独・孤立というのは人間を含む多くの動物の脳にとって、とても不自然な状態です。
人間というのは本来、子孫を残すという目的がプログラミングされた動物であり、社会とつながりをもたずに過ごすことは、不便なだけではなく命を脅かします。
人間は昔から、食べ物を得ることも、子孫が繁栄することも、他者とのつながりに大きく依存していたのです。それゆえに、人間は、孤独・孤立に対して苦痛を感じるようプログラミングされています。
そう考えると、孤独・孤立が、人間として不自然な状態であり、思考力や判断力に影響を与えることもうなずけるでしょう。
文/平井麻依子 写真/Shutterstock
「脳にいいこと」すべて試して1冊にまとめてみた
平井麻依子
2025/1/30
1,650円(税込)
224ページ
ISBN: 978-4763141965
世界中の脳科学のエビデンスを自分の脳で実験。
医師が実践する脳のコンディションを整える方法。
「昔に比べ、仕事の処理能力が落ちた」
「なんとなく、毎日楽しくない」
「最近、イライラすることが増えた」
その悩みは、仕事のやり方に問題があるせいでも、
あなたが落ち込んでいるせいでも、
あなたを怒らせる人のせいでも、ありません。
ただ、「脳のコンディションが悪い」だけ。
この本では脳のコンディションを整えて
仕事のパフォーマンスや
日々の幸福度を上げる方法をお伝えします。
その方法はすべて医師である著者が
自分の脳で実験したものです。
きっかけは、自身の脳手術による後遺症に立ち向かうためでした。
医学知識、経験、ネットワークを総動員して
「脳のコンディションを整える」という100個ほどのエビデンスを集め
自分の脳を実験台にスタート。
◉科学的に裏付けられた「ストレス解消法」
◉脳を若返らせるのに効果的な「運動法」
◉やる気をもたらす“自分が主人公と思って過ごす”「マインド術」
◉幸せホルモンのオキシトシンを効果的に出す「人づき合いの方法」
など、本当に効果があった方法をこの1冊にまとめ上げました。
実践した結果、
◉判断がいままでよりも早くなった
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◉片頭痛が出なくなった
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という、“バージョンアップした自分”になって
見事、仕事復帰をかなえたのです。
特別付録として巻末に
脳のアンチエイジングや幸せホルモンを増やす方法
「2週間で脳のコンディションを改善する!」アクションシート付き。