実は日本にもいる「孤独・孤立対策担当大臣」

日本でも2021年に、世界で二番目となる「孤独・孤立対策担当大臣」が任命されました。NPOとの関係の強化や実態把握調査、情報発信などを行っているようです。

2023年に実施された内閣官房による調査では、20~50代において孤独感が、「たまにある」「ときどきある」「常にある」と答えた人の割合が他の年代よりも高く、その割合は約45%に上りました。

男女別で見ると、男性では30代及び40代で、女性では20代で高いという結果になりました。

また、OECDの調査によれば、友人、同僚、その他のコミュニティと「ほとんど付き合いがない人」の割合は、日本では約15%。平均の2倍以上。加盟国のトップでした。

アメリカやオランダ、ドイツなどでは3、4%でしたので、日本の突出した人とのつながりの希薄さが示されています。

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孤独は、脳に関わる病気も含む生活習慣病と大きく関係があります。

会話がなく長時間過ごしていると、使われていない脳の神経細胞が少しずつ衰えてしまいます。

他者と交流がない孤独状態になると脳のコンディションが下がり、将来的には認知症などのリスクが高まります。

つまりは、孤独の脳に対する影響は、現在の脳のコンディション低下に加え、将来的な認知症などへのリスクにも及ぶのです。

そもそも、孤独・孤立というのは人間を含む多くの動物の脳にとって、とても不自然な状態です。

人間というのは本来、子孫を残すという目的がプログラミングされた動物であり、社会とつながりをもたずに過ごすことは、不便なだけではなく命を脅かします。

人間は昔から、食べ物を得ることも、子孫が繁栄することも、他者とのつながりに大きく依存していたのです。それゆえに、人間は、孤独・孤立に対して苦痛を感じるようプログラミングされています。

そう考えると、孤独・孤立が、人間として不自然な状態であり、思考力や判断力に影響を与えることもうなずけるでしょう。

文/平井麻依子 写真/Shutterstock

「脳にいいこと」すべて試して1冊にまとめてみた
平井麻依子
「脳にいいこと」すべて試して1冊にまとめてみた
2025/1/30
1,650円(税込)
224ページ
ISBN: 978-4763141965

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