ブラック商社から憧れのCAへ転職
――大学卒業後は商社に勤めていたとのことですが、そこから転職を考えたきっかけは?
そもそも、商社の最終面接では「商品部で英語圏を担当させてもらえる」と聞いていたのに、実際に入社してみたら中国担当だったんですよ。しかも、残業代も出ない、有休も取れない、言わばブラック企業と言える会社でした。
入社初日から「ここじゃないな」と直感的に感じていましたが、日本の社会では「新卒で入った会社で3年は働かないと次のキャリアが厳しい」とよく言われるので、とりあえず耐えていました。
でも、入社して2年半が経った頃から、水面下で転職活動を始めました。当時は「早くここから抜け出さないと、私の人生が腐ってしまう」という思いでいっぱいでしたね。
最初はCAになろうなんてまったく考えていなくて、別の商社などへの転職を視野に入れていました。
――では、なぜCAになろうと思ったのでしょう?
オーストラリア留学のときに出会った友人「ユウコ」が、先に外資系航空で働いていて、大阪フライトの際に「ご飯行こう」と誘ってくれたんです。
当時、その外資系航空のクルーは大阪フライトの際にヒルトン大阪に宿泊していたので、ロビーで待ち合わせしました。そこでユウコから「2年ぶりに会社の採用が再開するから、絶対受けた方がいいよ!」と言われたんです。
正直、そのときの私はその外資系航空がどれほどすごい会社なのか、全然知りませんでしたが、ユウコが制服姿で、20カ国籍ほどのクルー30人くらいと一緒にロビーに現れた瞬間、その雰囲気に圧倒されました。「すごくキラキラしていてかっこいい。人生を楽しんでいるなぁ」と思ったんです。
そのとき初めて「その外資系航空に入りたい!」と思い、本格的に転職活動を始めました。
――日系の航空会社への転職は考えていなかったんですか?
とにかく早く商社を辞めたかったので、一応、その外資系航空と同時進行で日系の航空会社も受けていて、先に日系の内定ももらっていました。でも、採用試験対策は完全に本命のその外資系航空1本に絞っていましたね。
外資系航空は2013年11月に最終面接があったのですが、その後、翌年の3月末まで何の連絡もなかったんです。だから、もう落ちたと思っていて、日系の航空会社に行くつもりでいました。
そんなとき、突然「+971」(アラブ首長国連邦の国番号)から始まる知らない番号から電話がかかってきたんです。出てみると、中東訛りの英語で「Hello, Congratulations.」と告げられたんです。