「Aと同じ目にあわせてやりたいです」
神居古潭のつり橋から転落したAさん。検察側の証拠によると、転落から32日後の5月21日、下流約64kmの空知郡奈井江町内の川で発見された。
母親と父親が処罰感情などを述べた調書には、最愛の娘を突如として亡くした悲痛な言葉がならんでいた。
母親の供述調書が読み上げられる。
<一番の願いは、Aが生きて帰ってくることです。しかし、その願いは返ってきません>
Aさんは、事件当日の4月19日と翌20日は友人と札幌に行くことになっていたという。小さなころから、幼稚園の先生にあこがれていたAさんは、20日に札幌市内の学校のオープンキャンパスに参加する予定だった。だが、それは叶わなかった。
<(警察から連絡を受けて)本当にAが死んだんだなと思い、涙が止まりませんでした。何時間も連れまわされて、生きたまま川に落とされ、痛み、悲しみを考えるとやりきれません>
<犯人には、極刑を望みます>
<辛かったね。寒かったね。怖かったね。今は暖かいところにいるのかい、と話しかけています>
続いて、父親の供述調書。
<私の大切な長女のAが殺され、17年の短い人生を終えました。Aは、とても家族想いの子でした>
<手を合わせながら、怖かったろ、痛かったろ、寒かったろ、辛かったろ、と語りかけました>
さらに、被告らの犯行についてこう怒りを露わにする。
<こんなひどいことは、人間のすることではありません。Aと同じ目にあわせてやりたいですが、それは私にはできません。できる限り、厳重な処罰をあたえてください>
これまで、被告は裁判中に、目に涙を浮かべる瞬間はあったものの、終始表情をかえることなく、一点を見つめていた。
しかし、被告はこのとき、肩を震わせ、涙を手でぬぐっていた。
休廷後、傍聴人からは「涙が止まらなかった」という声が聞こえるほど、両親の悲痛な想いに法廷は包まれていた。
取材・文/学生傍聴人