「すみません、通報してください。すみません」
また、検察側は証拠として、神居古潭で撮影されたAさんが全裸で土下座している動画2点と、コンビニの防犯カメラ映像の計3点を提出。
映像は、裁判官と裁判員らの目の前にあるモニターに映し出された。傍聴席からは見えなかったものの、かろうじて声は聞こえる。
そのリアルな声とやり取りに、法廷の誰しもが聞き入っていた。
はじめに、Aさんが助けを求めたコンビニの防犯カメラ映像が映し出された。
コンビニのドアが開閉する音から数分がたった後、「ドン」「ドン」と2回大きな音がした。そしてすぐに、女性の焦った声が聞こえる。Aさんの声だ。
<すみません、通報してください。すみません>
間髪容れずに、「ドン、ドン、ドン」と物音が聞こえ、野太い声が聞こえる。
<迷惑かけんなって。やめろよお前。お前が悪いんだよ。わかったら、早く立て>
<お前が悪いんだべや、早く立てよ>
当時、内田被告が買い物をしており、レジで会計をしていたときの出来事。内田被告はタバコなどを購入していたといい、「年齢確認をお願いします」という電子音声が聞こえる。
レジに立っていた店員の声であろう、「○○円です」がうっすら聞こえる。
そして、再び野太い声が響く。
<やめろよお前>
Aさんは、弱々しく震えた声で再度こう言う。
<すみません...>
検察側によると当時、Aさんはコンビニのレジカウンター付近にある、段ボール箱や新聞入れをつかみ、必死に抵抗していたという。
<お前が悪いんだべさ。わかったら、早く立てよ。いいから行くよ>
Aさんの短い「キャッ」という悲鳴。
<立てや。いいから。お前が悪いんだべって>
<店に迷惑をかけんなって>
「ゴラッ」などと声が聞こえ、どんどん声が遠ざかっていく。Aさんは、被告にアウターのフードをつかまれて、引きずられながら、店外に出されたとのことだった。