「ストラディバリ狂騒曲!の巻」(ジャンプ・コミックス85巻収録)

今回は、来日した世界的に高名な演奏家と両さんが、ひょんなことから交流を結ぶお話をお届けする。

世界的演奏家とは、麗子のバイオリンの師でもあるガンディーニ。彼が演奏するバイオリンは、4本の弦を弓でこすって音を鳴らす「擦弦(さつげん)楽器」の一種。

人間の声同様に耳に馴染む音色で、音の強弱やフレーズの速度、音域などのいずれにも優れ、オーケストラの弦楽器セクションでは主役とも言えるポジションを務める。

彼の愛器はストラディバリウス。17世紀イタリアの楽器製作者、アントニオ・ストラディバリとその2人の息子、フランチェスコ、オモボノの手によって生み出された品々を指す。バイオリン以外にもチェロ、マンドリン、ギターといった弦楽器も手がけた。

ストラディバリが作ったバイオリンはすぐれた音色と音量、美しい外観を兼ね備えた至高の名機と評価されている。その音色の再現は現在でもなお困難だという。音色の秘密は塗られたニスの成分にあるとされていたが、それは松脂と脂という、製作当時には一般的に使われていたものだった……。

小さな室内で演奏されることが多かった製作当時の楽器としては珍しく、ストラディバリウスのバイオリンは音量が大きかったようで、それが広いホールでの演奏が盛んになっていった後年に評価された一因かも知れない。

ちなみに、ストラディバリウスの現在の金銭的な価値は少なくとも数千万円から数億円。数十億円で取り引きされた個体も存在する。

演奏家が個人で所有・維持するには高額すぎることもあり、財団や音楽団体の持ち物が選ばれた演奏家に貸し与えられることも多い。富の象徴や投機対象として扱われることもあるが、それ以上に人類共通の宝でもあるのだ。

なお、本作タイトルにある「ストラディバリ」は一般的には人名を差し、楽器名は「ストラディバリウス」と称することが多い。

それでは次のページから、両さんと世界的バイオリニストが意気投合してしまうお話をお楽しみください!!