上司からチョコを強要された結果…

「社会人1年目の出来事がきっかけで、職場での義理チョコは絶対あげないと心に決めています」

そう語るのは当時、地元紙の記者として働いていた30代の女性・Aさん。どのような出来事があったのか、詳しく話を聞いてみた。

「社会人1年目の時、男性上司から『バレンタインは日々の感謝を込めて、会社にチョコレートを持ってくるもんだぞ』と言われました。1年目だったこともあり、会社の伝統や文化が分からず、故郷にいる母に電話で相談したところ、『職場の先輩女性社員に聞いてみたら』とアドバイスされました」(Aさん、以下同)

いまだに男社会で体育会気質の根強い新聞社。当時は1年目で、気軽に女性の先輩に話しかけられるような雰囲気もなく、2月14日の当日、職場近くの百貨店で購入した箱詰めのチョコレートを『いつもお世話になっております。皆さんで召し上がってください。 〇〇(名前)より』と付箋を貼って職場の共有スペースに置いておいたというAさん。

そこから日々の取材や出張などで1週間ほど職場に行くことはなかった。職場にいる上司や先輩と電話でやり取りをすることもあったが、「チョコおいしかった」「ありがとう」とお礼の言葉をかけてくれる社員は誰一人いなかった。

その後、夜勤勤務のため職場に上がったAさん。そこでチョコレートが全部なくなって空箱だけ乱雑に置かれている状況を目の当たりにし、なんとも言えない気持ちになったという。

「『チョコレートを買ってくるのが礼儀だ』と強要しといて、その後『ありがとう』の一言もなく、バクバク食べて、終いにはホワイトデーの返しもない。正直、蔑ろにされていると思いました。もう絶対義理チョコを職場で渡すのはやめようと思いました。バレンタイン自体もとっくに時代遅れのイベントですよね」

2年目に入った時、Aさんは同様に1年目の後輩女性社員が上司から同じようにチョコを強要されている様子を目の当たりにした。後輩の女性社員に自身の経験を伝えた上で、「そこまで気を遣う必要はないよ」とアドバイスしたが、結局、後輩は上司の言う通り、チョコレートの箱詰めを買ってきてしまったといい、その伝統は今も脈々と続いているという。

上司から強要され箱詰めのチョコを職場に持っていったものの…(写真/shutterstock、以下同)
上司から強要され箱詰めのチョコを職場に持っていったものの…(写真/shutterstock、以下同)