暖かい布団の中で凍死した事件

暖かい布団の中で凍死した事件があった。

凍死がどうして家の中で起きるのか。しかも布団の中で、と不思議に思われる方もおありかもしれない。普通、家の中で凍死するということはちょっと考えにくい。しかも布団の中に入っていながらだ。

凍死したのは一人暮らしの老人だった。

漏らしてしまったおしっこが原因で凍死することも(写真はイメージ/shutterstock)
漏らしてしまったおしっこが原因で凍死することも(写真はイメージ/shutterstock)
すべての画像を見る

病気で寝たきりのため、何日も食事をとっていない。すでに自力でとることもできない。そうこうしているうちに、本格的に体力がなくなってくる。トイレに行く力さえ失われてしまっていた。

そしてあるとき老人は布団の中でおしっこを漏らしてしまう。

おしっこを漏らすと、はじめは温かいが、徐々に温かかったおしっこも冷めてきて、体温を奪っていく。寒い冬で暖房もない。北風が吹き抜けるような昔の家だと、家の中でも寒いから、濡れている布団で体温が奪われて凍死してしまうのだ。

以前、そういう変死体の検死を行ったことがある。

それは一例だけではない。何例もあった。年をとってくると、われわれが考える以上に予期せぬことで死にいたる。老化の一種と言ってしまえば、それまでであるが。