もともとメンタルが強いわけじゃない
――篠田さんはメンタルが強そうなイメージがありますけど、そういう風に悩んで落ち込むこともあるんですね……。
強そうってよく言われます(笑)。そう思われるからこそ、弱みを見せづらかったんですよ。私は強いわけじゃないけど、切り替えは早いんです。落ちるときはとことん落ちるんですけど、そこからはすぐに、“もうしょうがない”ってスタンスで切り替えるんです。
――落ち込むときもあるけど、それを引きづらない?
バッシングに対してのメンタルでいうと、AKBの頃って2ちゃんねる全盛だったので、ネットで叩かれる誹謗中傷ってわりと当たり前で。そのときに打たれ強くはなったかな。
あと、握手会で直接きつい言葉を言われることも会ったし、「辞めればいいのに」とか。それは私だけでなく、他のメンバーも同じだったと思います。そういう意味では、しごいていただいたかなって思います(笑)。
――直接言われるとキツいですね。
でも、私、心は鍛えられるって思うんです。筋トレと一緒で、練習を経て、鍛えていくじゃないですか。そういう意味で、自分を鍛えてもらったというか。
もともとメンタルが強いわけじゃなくて、自分なりにきついことを経験しているからこそ、相手への思いやりとか気持ちもわかるし、そのときにどう復活するかも学んできているから、強くなってきたんだろうなって思います。
――メンタルの強さといえば、AKB時代の「私を潰すつもりできてください」という発言が印象的ですが。
あれは強気というか。AKBって何百人もいたから、総選挙でダメだったからもういいやって、腐っちゃう子もいるんです。でも、芸能界に夢を持って入ってきているのにそこで腐ったらもったいないじゃないですか。だから、“この先にはもっと広い未来もあるから、ここで腐らずに”潰すつもりできてくださいっていうニュアンスでした。先輩としての「親心」があったんです。
というのも、私も悔しかったときがたくさんありました。アイドルになりたい子はみんな自分が一番と思っているのに、順位をつけられてしまう。その悔しさはわかるけど、せっかく今あるチャンスを潰さないで活かせる場所があればいいなって思ったんです。
――発奮材料としての挑発だったと。
あの発言をした後に、中間管理職の方から 「ありがとう」ってDMをたくさんいただいたんです。後輩から「先輩たちがやめないから僕たちできないんですよ」って言われる側の人たちの気持ちを代弁してくれたって。普通の企業とか社会でもそういうことあるよねって受け取ってくださった方も多かったみたいでした。
#2に続く
取材・文/高田秀之 撮影/杉山慶伍