「表情が生き生きしてきます」
美への飽くなき欲求は、21世紀の今に始まったことではない。古くは、クレオパトラのミルク風呂などが有名だが、女性は美と若さを追い求めてきた。高齢になると、その欲求はなくなるのかといえば、そうではない。
吉岡つかささんは、富山県在住で、介護福祉士実務者研修を経て、今年は介護福祉士を目指す女性だ。
富山型の、不登校児から高齢者・障害者までケアする包括的なデイサービス事業所で働きながら、2024年3月に介護美容セラピストとして活動を始めた。
現在は、障害者や高齢者に、メイク・ネイル・フェイシャルエステ・健康や美容のための体操サービスなどを提供している。
なぜ、このような事業を始めたのか。
「もともと田舎生まれで、いわゆるお祖父ちゃん・お祖母ちゃんっ子でした。介護士として働いている中で、1人1人ともう少し向き合っていきたい、ゆっくりとコミュニケーションを取って、それぞれが抱える寂しさとも向き合っていきたいと思いました。それが、ネイルやエステでした」
利用者としては、70歳以上の高齢者が多いという。
「最初は、“結構です” と断る方でも、“眉毛だけでも描いてみますか?” と聞いていくと、心が動いていきます。口元に食べカスがついていたりと、ケアが行き届いていない方でも気持ちが明るくなり、表情が生き生きしてきます」
メイクをすることで、見た目も華やかになるが、高齢者の表情が変わるのがやりがいにつながるのだという。