保育園での性的な出来事、6歳のときの性暴力

リングのなかでムチを振る、いおりん氏をみて、さぞ奔放に生き、性を謳歌してきた女性なのだろうと思った。スレンダーな体躯をボンテージに包み、男性たちの睾丸を容赦なく蹴り続ける。そのたびに歓声が上がり、M男は喜色満面の笑みを浮かべる。

意外なのは、いおりん氏の職業だ。一般的には「おカタイ」とされ、多くの人々の役に立つ仕事であり、S女としての彼女と結びつけるのは至難だ。

だが、その生い立ちを知ると、ここまでの道程がおぼろげに見えるように感じた。いおりん氏が生まれ育ったのは、辺境の島。両親はその島で事業を営んでいる。家族が忙しなく働いていたからか、彼女は小学校高学年になるまで一般的な学習進度についていけなかったと話す。

「本当に、高学年になるまで曜日の仕組みがわかっていなかったんですよね。それから、算数の図形の問題もちんぷんかんぷんでした。勉強ではかなりつまずいたのを覚えています」

「ドSのいおりん独裁政権 玉狩り大会」を主宰するいおりん氏
「ドSのいおりん独裁政権 玉狩り大会」を主宰するいおりん氏
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その反面、性的には早熟だった。

「今でも覚えているのは、保育園のときのことです。同級生の女の子が、お昼寝の時間に私の股間をまさぐってきたんです。もちろんそれがなにを意味するのかわからないまま、私も同じことを彼女にしました。そんな関係が、小学校5年生くらいまで続いたと記憶しています。

私、レズビアン寄りのバイセクシャルなんですよね。大人の女性の身体に興奮するんです」

保育園から続いた性的な出来事もさることながら、いおりん氏が大人の女性に対して性的に興奮するのは、こんな過去も関係するかもしれない。

「6歳のとき、見知らぬ大人の男性からコンテナの連結部分に連れて行かれて、裸にされて……。それ以来、しばらくは男性と2人きりになるのが怖いと思う時期が続きました。父とでさえ、2人になるのは避けたほどです」

性暴力の体験が落とした影は色濃い。

「それから、夜中にひとりで起きて泣くことが増えました。私は汚れていて、他の女の子はまだきれいなままであるという思考にとらわれて、嫉妬に近い感情に振り回されました。まだなにも知らない女の子たちが羨ましかったんです。

中学3年生くらいのとき、友人に打ち明けることができて、これまでの激しい妬みの感情は少しずつ成仏していきました」