2024年に閉店した都内の名店
実際、都内の立ち食いそば屋は今年だけでも名店が何店舗も閉店している。約50年続いた岩本町の「スタンドそば」は店長が逝去したために2月末に閉業、50年以上続いたカレーが絶品の末広町「きぬそば」は6月下旬に、1974年創業でごぼう天がウリの小伝馬町の「立喰かめや」が7月末に、日比谷の「都そば」はビルの建て替えに伴い10月末に閉業した。
値上げについて、客はどう感じているのだろうか。一由そばの公式Xが値上げに関する告知をポストした際は温かい言葉が寄せられていた。
〈オッケーオッケー! ぜんぜん受け入れます!〉
〈50円上げてもいいと思います〉
〈逆にそんな微々たる値上げで大丈夫なのでしょうか…心配です。身体に気をつけて少しでも長くつづけてください!〉
〈致し方ないです。無理せず頑張って下さい〉
しかし店舗では確実に影響は出ているという。
「やはり値上げを機に、来なくなってしまった常連さんもいます。ほかには、天ぷら2品を頼んでいたけど、1品にして調整してくださるお客様など、反応はさまざまです。
ただありがたいことに、私どものほうにも温かいエールがたくさん寄せられています。値上げに納得してくださるというか……。でも、納得もしてほしくないんですよね。申し訳ないので。今は、行列に並んでくださることが応援してくれていると思って頑張っています」
江戸時代から始まった立ち食いそばの文化。この歴史的な物価高騰の波を受けて、いったいいくつの店が生き残ることができるのだろうか。一人の客として、応援を続けていきたい。
取材・文・撮影/ライター神山