炎上しても手を差し伸べてくれた恩人たち

――どうして、そこまで本気を出せるのでしょうか?

7年ほど前に、SNSで炎上してしまったことがありまして……。

打たれに打たれまくり、多くの人が僕から離れていき、芸能のお仕事も0に近い状態になってしまったんです……あれは、人生でも一番だと思えるくらいにキツかった。

ただ、そのときに手を差し伸べてくださった方がいまして、そのひとりがカーコンビニ倶楽部の林成治社長なんです。

――どのように救われたんですか?

林社長は初対面で「角ちゃん、俺と出会ったら忙しくなるよ」と。2回目にお会いしたときは「角ちゃん、うちのCMに出てよ」と。

炎上のことなんて何も聞かずに、あれよあれよという間に撮影してCMは完成、そしてOA。

このときの御恩は、一生かけてお返ししなければならないと思っています。

――今やカーコンビニ倶楽部のイメージキャラクターを務めていらっしゃいますよね。

僕から離れた人たちっていうのは、いずれ離れていく存在だったのだと思います。あのとき手を差し伸べてくれた人たちが僕の周りにいて、皆でいいお仕事ができている。

辛くて苦しいときに歯を食いしばり、しゃがんだらジャンプ! 誠実に実直に精進していれば、必ず手を差し伸べてくださる人たちと出会えるんです。

約7年前にSNSが炎上、仕事はゼロに…ドン底を経験した角田信朗が『傾奇者恋歌』の歌詞にみつけた「漢の生きざま」_3

――しかし、SNSの功罪というものを考えさせられますね。

SNSって、実に自分本位で人を傷つけたり、嫌な思いをさせたりすることが平気で行われている。

SNSって素晴らしい側面もあるんだけど、諸刃の剣。心ない投稿で、人間の命を奪うことだってある。

そんな残念な世の中だからこそ、「人を幸せな気持ちにすること」の大切さを実感します。

だから、僕の役目は人を笑顔にすることなんだと、ひしひしと感じてます。

まぁ、「芸能界はやっぱり恐ろしい世界だな」ということですね(笑)。

どれだけ辛くても貫く「漢という生き様」

――たくさんの人の支えがあって、今があるということですが、それにしても、どんなときも「漢でいる」のは大変ですよね。

僕らのお仕事って、失敗が許されないんですね。ひとつ失敗したら、それで全部お仕事が飛んでしまう。今の政治家のセンセイ達とは大違い(笑)。

人生、成功するのは本当に難しいこと。でも、失敗する人はいくらでもいますよね?

失敗は至るところに転がっていて、成功できる人はほんの一握りなわけだから、失敗しないことって実は、成功する以上に難しい。

それを考えると、息が詰まることもありますよ。

「漢」という看板を背負い続ける美しい背中
「漢」という看板を背負い続ける美しい背中

――それは「角田師範」という肩書が常に付きまとうためでしょうか?

「師範」って肩書きがつくと、「角田信朗プラスアルファ」できちんとしていないといけないでしょ?(苦笑)

僕だって羽目を外したいときもあれば、いい加減にやりたいって正直思うこともありますけど、「K-1の角田」だったり、「角田師範」であることって、そんな緩んだ気持ちを引き締めてくれるんですね。

――「漢」のイメージが強すぎて、「背負い過ぎている」と思うことはありますか?

まぁ確かに「漢」を背負うのってしんどいことだとは思うんだけど、そこを「花の慶次」の例えで云うなら、

だがそれがいい、と(笑)。

約7年前にSNSが炎上、仕事はゼロに…ドン底を経験した角田信朗が『傾奇者恋歌』の歌詞にみつけた「漢の生きざま」_5
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〈後編へ続く『「あいつが生きていたら…」すべての夢を実現した角田信朗の人生で唯一の後悔』〉

取材・文/集英社オンライン編集部 写真/立松尚積