「令和ロマン」はつかみからネタの流れがよかった
2023年のM−1で、しっかりお客さん全員と会話をしたのは令和ロマンと、あとはさや香やったと思います。
採点基準でいうと、つかみがあるか、それがウケたかどうかは、僕の中では直接的に点数には影響しません。
でも、つかみで最初に笑いをとれると、スタートダッシュがよくなります。そのおかげで、本ネタに入って1つめのボケのウケ量が大きくなります。
もちろんつかみからの流れも重要です。一度笑いをとって場の温度が上がったものを落とさないように、スッとネタに入るのが理想的です。
たとえば真空ジェシカも、毎回つかみを入れますが、そこからスッとネタに入るという感じではありません。川北くんがすぐには意味がわからないボケをして、ガクくんが説明しながら突っ込む。そこから、いったん間を空けて、再スタートでネタに入るという展開が多い。決してスベっているわけではない、ちゃんと面白くてウケるんですけど、これだとネタへの入りはあまりスムーズではないと思います。
令和ロマンは、そのあたりのさじ加減も上手い。つかみでボケて、いったん笑いが起こってからも、ブツクサつぶやくようなボケとツッコミを何ターンか入れつつ、スッとネタに入るあたり、技術が高いなと思います。
ただし、つかみで失敗すると後が難しくなるというリスクもあります。最初にスベって仕切り直してネタに入る。そうなると、マイナスからのスタートになって、それを挽回できないまま終了……というパターンもよくあります。
そうしたリスクもありますが、基本的にはメリットのほうが大きいと思うので、僕はつかみを入れたほうがいい派なんです。