「二重奏」のスタイルが爆発したM-1決勝
今でもたまに、「優勝したM-1はどんな感じでしたか」と聞かれることがありますが、とにかくめちゃくちゃ緊張していました。出番の前にネタ合わせをしているときも「あれ、次はなんやったけ?」となってしまい、1回もちゃんと通しでできなかったくらいです。
緊張がまったく解けないまま、自分たちの出番が来て、「はい、どうも!」と舞台に出て行ったんですが、その瞬間、口から全部内臓が飛び出たみたいな感覚になりました。心臓がバクバク言いすぎて、井上の声もあまり聞こえない。
ネタ中はずっと、「井上のテンポが遅すぎる。大丈夫か」と焦っていました。でもほんまは井上はいつも通りで、僕が緊張してそう感じているだけやったんです。
最後まで緊張はしていましたが、漫才はとにかくウケた。井上のツッコミで笑いが起きて、僕の太ももを叩く反省ボケでさらに大きな笑いが生まれました。「二重奏」のスタイルが最高の舞台で最高の形で完成したんです。お客さんの爆発的な笑いがガンガン返ってきて、過去イチ漫才を楽しめました。
最終決戦に残ったナイツとオードリーを抑えて、優勝が決まった瞬間、溢れ出てくる涙を抑え切れませんでした。僕にとって決勝の舞台は「漫才とは何か」「どうすればM-1で勝てるのか」に全力で向き合った「答え合わせ」の場で、そこで最高の花丸をもらったように感じたんです。