反社加入から脱退までの波乱の半生
現在、愛知県名古屋市に格闘技ジムを経営する桜木さん。端正なルックスに丁寧に整えられた銀髪。微笑みを絶やさず、その優しい眼差しの中には芯の強さが垣間見れるが、服を脱ぐと全身に刺青が彫られ、タダ者ではないオーラをまとう。
桜木さんが肉体を苛め抜いてまで払拭したい罪悪感とは一体なんなのか。サハラ出場までの半生はまさに波乱に満ちていた。
高校時代から暴走族に加入し、深夜の名古屋市内を爆音を響かせながら縦横無尽に改造バイクで走り回る日々を送っていたという桜木さん。高校卒業後は、暴走族の先輩の紹介で、表向きは一般企業として身分を隠して設立したフロント企業に入社。そこで桜木さんは会長秘書として働いていた。
「会長の鞄持ちのような仕事なんですが、24時間会長の傍に張り付きっぱなしで。電話には必ず2コール以内に取らなきゃいけないし、呼び出されたらすぐ駆け付けなくてはいけないので、当時は名古屋市内に7カ所も部屋を借りて常時スタンバイしていました。
そんな日々を送る中で、『僕の人生これでいいのかな…』って疑問がふと脳裏をよぎりました。収入は十分もらっていましたが、常時拘束され続けて、自分の時間も全く取れないし、真の意味で世の中の役に立てていない。この仕事を続けた先に、人生で残るものってなんなんだろうって虚無感を抱くようになったんです」