「責め方が異常、裏に何かあると思ってた」「YouTuberが話してた」
この見方は本当なのか、斎藤氏の支持者に聞いてみた。
街頭演説会に来た50代の女性Bさんは「私はこれまで大阪の親戚の話を聞いて維新に投票してきましたが、今回初めて演説会に来ました」と言う。斎藤氏の疑惑や、反対の応援の動きをどう見ているかたずねると、言葉を選びながら答えてくれた。
「斎藤さんは100%悪いって思ってたんです。それが揺らいだのは親戚の話からで、YouTubeを見始めました。ネットの話も鵜呑みにはしませんよ。でも何が正しいのか分からなくなって実際に聞いてみようと思ったんです。
聞いてみると斎藤さんは実直という印象です。政策もいろいろされていることが初めて分かり、続けてもらった方がいいかなと思います。疑惑? 実際どうかは判断できないですね」(Aさん)
50代の女性Cさんは声をかけると「なんで斎藤さんを推すのかって? あんたらマスコミが一番わかっているでしょう」と声を荒らげた。ご自身の気持ちを教えてもらえませんか、と頼み込むと機嫌が直り、関西のおばちゃんらしく親切に心のうちを話してくれた。
「立花さんが出てくるよりもずっと前、ワイドショーで毎日斎藤さんが取り上げられていたころから、私はそれを見て胸が痛かったの。なんであんなに責め立てるんやろって。私も人の親、お母ちゃんやから。家族にも『もうテレビ見るのやめよ』って言ったくらい。毎日毎日、これでもかこれでもかって。辛かったのよ。この責め立て方は異常や、裏に何かあるで、って思ってたら、案の定そうやった」(Cさん)
メディアは問題がないと知りつつ県議とともに斎藤氏を糾弾したのだから、斎藤氏が素晴らしい知事なのは記者なら知っているはずだ、というのがCさんが最初に怒った理由のようだった。
60代後半の女性、Dさんは「年寄やからって甘く見たらあかんよ。私なんかずっとネットで調べ続けているの」と話した。今回の問題は斎藤氏の前に20年間続いた井戸敏三元知事の時代につくられた利権に斎藤氏が挑戦したので起きた、というのがDさんの分析だ。
「一般の県民では分からない裏の人事のこととかがYouTubeでワラワラ出てきているじゃない。その利権をなくそうとした斎藤さんの足を引っ張ったのが県民局長(Aさん)。パソコンからおかしな証拠が出てきたけどね」とも言う。情報にはいちいち「〇〇さんが言うには」と出所もつけてくれる。立花氏や有名YouTuberの名前を挙げた。
3人を含む、支持者の多くは斎藤氏の行財政改革に賛同している特徴もあった。斎藤氏は演説で、県庁舎の建て替え凍結や県の海外事務所削減で財源をつくり、若者や女性、障がい者支援に回すと強調した。支持者はこれらの政策をよく知っていた。