本能に刷り込まれた競争性を利用

そして、私は、そそくさとテレビのスイッチを消して、机に向かうのです。

これは、社会人になってからも同じです。財務省に入った際に、同じ局に配属された同期の男性とは、仕事の愚痴を言い合ったり、なぐさめ合ったりする仲でした。しかし、夜遅くまで仕事をして、今日終わらせられるかもしれないけど、疲れたから明日にまわそうと思うことがあっても、横で彼がまだ働いているのを見ると、「彼がまだ頑張っているのだから、私も頑張れる」と思え、もうひと踏ん張りできたのです。

ライバルが必要であること。これは何も人間に限ったことではありません。競走馬を見ていてもわかります。どのレースも、すべてのサラブレッドは、ほかの馬より前に出ようとしています。もちろん、サラブレッドが競走に勝つことで利益を得るのは人間です。それでも、それぞれのサラブレッドは、ほかの馬より鼻先でも前に出ようとするのです。これは、ほかの馬と並ぶと少しでも先に出たいと思う競争性がその本能に刷り込まれているからなのだそうです。

ライバルの存在は必要不可欠(写真はイメージです)
ライバルの存在は必要不可欠(写真はイメージです)