「仕事でつかう」と駐車場を借りた夫
木本容疑者が借りていた駐車場の大家はこう証言した。
「一年前くらいに夫婦で駐車場を借りたいと尋ねてきましたね。いや、もう夫婦ともに普通って感じの人でしたよ。奥さんはぽっちゃりして髪をひとつに結った地味な物静かな人でした。
奥さんは一言もしゃべらないで旦那さんがしゃべっていましたね。旦那さんは関西弁で、明るくしゃべる感じでしたね。子供がいるとは聞きましたけど、あまり個人的な話はしていませんでした。
最初に契約した時は白っぽい車に乗っていて、月に15000円の駐車場代だったんだけど、今年の4月に本人の希望で解約したんですよ。でも10月になって再契約したいと旦那さんがまた来ました。その時は『仕事の関係でまた駐車場が必要になった』とのことで、今度の駐車場代は16000円でした」
車が必要な仕事とは、強盗が奪った現金の「回収」だったのだろうか。
「これまでは駐車場代の支払いが遅れたことなどなかったのですが、振り込まれていないので『おかしいな』と思っている矢先に警察が『契約書を見せてほしい』と訪ねてきたのでびっくりしました。まさかあの奥さんが強盗事件に関わってるなんて思いませんよ。
旦那にしたって格好はラフだけど、犯罪なんてしそうには見えませんでした。駐車場には夫婦が乗っていた車が置きっぱなしになっていますが、埼玉県のナンバーの付いたレンタカーでした。あの夫婦が住んでいたアパートはお金を節約したい方が住む場合が多いので、レンタカー借りるなんて余裕があるななんて思ってましたよ」
回収金は首謀者に「回収」され、自分たちの手元に残るのはわずかばかりだったに違いない。
幼子2人を抱える夫婦がすがった闇バイトで罪もない人たちが傷つき、命を落とし、社会には恐怖感が蔓延している。この構造を生み出したのは現代社会の必然なのか、それとも政治の怠慢か。いずれにしても放置し続けることは、許されない。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班