PTA活動に必要なこと、必要ないこと

東京都内のある公立小で数年間、PTA会長を務める父親のAさんは、委員会を廃止し、ボランティア制への移行を進めている。Aさんに、PTA活動に必要なこと、必要ないこととは何かを聞いた。

「いろいろな考えがあるけれども、私は学校と各家庭、地域の橋渡しがPTAの大きな役割だと思っています。意味がないと思われる活動はやめたいと改革を始めました」

改革の具体的な内容は次のとおりだ。

①ベルマークのウェブ化

コロナ禍やICT教育の推進により、学校の連絡もオンライン化が始まり、タイミングはよかった。

「まずベルマークをウェブベルマークに移行させました。有給休暇を取って学校に集まってベルマークを分類するのは、今の時代にそぐわない。でもいきなりはやめられない。地域の方の協力のもと、1年目はデジタル化してお知らせしていき、将来的にはベルマーク回収をやめます」

写真はイメージ
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②広報誌はハイブリッドに

広報誌のPDF化を始めた。それまでは児童数の倍以上を印刷してきた。

「今年度からは基本的にはオンラインで配信しています。学校のお便りがPDF配布になったので、広報誌も学校に合わせようと。ですが、紙で欲しいという方がいる。

今まではご自宅に持っていったり、郵送したりして役員が手配していた。記念にファイルしている家庭もあるので、入学した方が卒業するまで、6年がかりの電子化になると思います」

③苦情の多い委員決めをなくす、委員会廃止

Aさんも経験した「決まるまで帰れない委員決め」を変えようと、委員決めはコロナ禍にGoogleフォームでのアンケート方式にした。委員になりたくない保護者は、その旨を入力すればよく、これでうまくいったかに見えたが…。

「Googleフォームは便利ですが、手を挙げる方自体が少なくて、結局は役員が知人に声をかけて集めました。2023年度はGoogleフォームで立候補が足りなかった分を、復活した対面の保護者会で決めることに。『手が挙がらなかったらくじ引きで』と説明したら、ものすごい反発があって、それで委員選出をやめようと決めました」

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その前に、委員を半分ほど削った。半数でも十分できるとわかったからだ。多くの保護者に参加してもらうべくクラスで何人か募っていたが、実際の仕事はそれほど多くはない。分担するからやりづらくなることもあり、人数が少なくてもできる。

「『委員を何回かやらなければならない』とポイント制のように思ってる方がたくさんいて。実は10年前からポイント制ではなくなっているのに、そういう誤解があるのがPTAの曖昧なところなのかもしれません」