PTAゼロスタート、ネガティブイメージなくしたい
中央区で44年ぶりに新設された晴海西小学校には、晴海フラッグの住民を中心に、児童800人あまりが通う。PTAなどの保護者組織はまだない。
児童のおよそ半数はマンションを購入して引っ越してきた近隣の家庭の子どもで、ほかは全国から引っ越してきたり、外国人も1割程度はいるという。これからさらに入居が進んで児童数が増えることが予想され、第二校舎も用意されている。
「伝統をこれから作っていく学校なので、PTAも新しい組織にしたい。4月に『はい、PTAに入ってください』と申し込み用紙を配って一方的に進めるのではなく、保護者の意見を聞きながら作っていきたい」と言うのは、齊藤光司校長だ。
「個人的には、PTAはあったほうがいいと思います。でもPTAという名前は変えたほうがいいかもしれません。最近の報道やニュースを見ていて、PTAを作ることそのものが難しいと感じます」
確かに、ネットの掲示板やSNSなどに記載された保護者の体験談などを見ると、「なぜ有休を取って、集まらなければいけないのか」「4月最初の保護者会で、委員が決まるまで全員が帰れない」とか、ネガティブな書き込みが目に付く。
「ですが、保護者の集まりはあったほうがメリットがある。さまざまな保護者と連携しながら作っていくことが大事。保護者の思い抜きに、教育は成り立たない。
PTAがあると、そうした意見を吸い上げやすく、思いや悩みを受け止めることができます。学校と子どもと保護者、みんなにメリットがあるはずです。
教員は、数年でいなくなってしまうので、地域の中で連携しつつ、学校の児童を社会全体で応援するべきです」(同前)
そうはいっても、保護者も仕事や子育てをしていて、PTAに参加する時間が確保できない人もいることは、齊藤校長も把握している。
「そうした保護者の意見を聞いて、新しいPTAを作りたい。PTAも進化していく。今までと同じでなくていい。時間をかけて意見を吸い上げ、時代に合ったスタイルでやりたいです。
そもそも、学校の教育はルールを決めて従わせるのではなく、子どもの意見で決めていくべきです。晴海西中(晴海西小学校と同時期に新設)の3年生は、1学期に自分たちで新しいルールを提案し決めた。PTAも同じです。
これまでのPTAのように時間的な制限や仕事量が多く、一部の人に大きな負担をかけるような組織ではなく、今後は、やりたい人がやりたいときに、力を発揮できるボランティア組織を作りたい」
10月に運動会、12月に落成式典があるので、受付などのボランティアを募集し、保護者からの意見も聞き、様子を見たいという。
「今まで私が見てきた学校では、PTAの人たちが卒業後もかりだされ、地元の町会のお手伝いをしていました。餅つき大会を開く学校では、家庭でもち米を炊いて炊飯器ごと持っていく習慣があり、それはやめてもらいました。
区のPTA連合には、入らないと情報が入ってこないですし、他の小学校と一緒に開催するイベントもあるため、PTAという形でなくても加わりたいと考えています」(同前)