動脈硬化にご用心
【動脈硬化~心筋梗塞、脳梗塞】
世界で最多の死者数を叩き出している病気は「虚血性心疾患」ですが、免疫暴走はそのもととなる動脈硬化にも関わっています。
血中に活性酸素や悪玉コレステロールが増えてくると、活性酸素がつけた血管壁の小さな傷にコレステロールが入り込み、ふくらんでしまいます。こうして血管が狭まるのが動脈硬化の始まりですが、体内が免疫暴走状態だと動脈硬化は悪化するのです。炎症性サイトカインが出ることで、より血管壁が傷ついたり、悪玉コレステロールが酸化したりするからです。
もともと攻撃免疫は、血液中を漂っているコレステロールを異物とみなして攻撃しているわけですが、この血管壁のふくらみも異常とみなすため血管壁に入り込んでコレステロールを抱え込むように。すると、ふくらみが大きなコブのようになってしまうのです。これをプラークと呼びます。
また、攻撃免疫がコレステロールに対応しているあいだも炎症性サイトカインは出続けるため、血管は傷つく一方に。プラークも攻撃免疫をおびき寄せるため、どんどん大きくなっていき、動脈硬化が加速してしまいます。
こうしてプラークがパンパンに大きくなるとやがて破裂し、傷口をふさぐために血のかたまりができて血管の詰まりを起こすのです。これが心臓で起これば心筋梗塞、脳で起これば脳梗塞ということになります。
血管も傷つけられていく
【糖尿病】
糖尿病は「インスリン」というホルモンが機能しなくなることで、血糖値が正常な変動をしなくなる病気です。それによって血管などにダメージが蓄積され、さまざまな症状を引き起こします。
インスリンは細胞に糖を取り込ませて分解させるホルモンなので、インスリンがはたらかないと、まず大量の糖がずっと血中を巡ることになります。すると、その糖が血管の内側にある内皮細胞に入り込んでしまい、それを異常とみなした攻撃免疫は攻撃をすべく活性酸素が発生。その結果、血管も傷つけられていきます。
一方で細胞は、うまく糖を取り込めなくなりエネルギー不足になって活動ができなくなるため、疲れやすい状態に。しかも免疫暴走時に出ている炎症性サイトカインには、インスリンのはたらきを抑えてしまう性質が。これが最も注意を払うべき点です。