薬漬け医療に拍車がかかる理由

私自身はできるだけ患者さんの薬を減らせるよう、勉強を欠かさないようにして知識を増やす努力をしていますが、どうやらそういう医者は稀なようです。

学会などに行っても、新しく開発された薬の効果の話ばかりで、薬を減らす方法などまったく議論される気配はないですし、それについて教えてくれるようなこともありません。だから結果として薬漬け医療に拍車がかかっているのだと思います。

また、健康診断をせっせと受けることも、実は薬漬けになる理由の一つです。

<精神科医・和田秀樹>「日本の健康診断は長寿に結びついていない」と断言する理由。ただひたすら患者の血糖値を下げようとする医者は「バカ」_1
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例えば、一般的に血圧は140/90mmHg未満が正常域とされるので、健康診断を受けてそれより高い血圧が測定されると、医者によってはすぐに降圧剤を処方するケースがあります。

血糖値も同様で、空腹時血糖値は100㎎/dl未満が正常域とされ、126㎎/dl以上となると糖尿病を疑われ、これまた薬を飲みましょうという話になったりします。

つまり、特に不調を感じているわけでもないのに、「異常」だという検査結果が出てしまうと、その数値を正常に戻すためだけに薬がどんどん処方されるのです。