妻にも県はアプローチを試みたが…
「政治家として至らない点もあるが、私としては県政を刷新していく思いを強く持っています。未来の兵庫のための県政改革の歩みを止めるわけにはいかない」
斎藤知事は13日午前、県議会最大勢力の自民党など4会派と無所属議員が連名で行なった辞職要求への受け止めを記者団に聞かれ、知事を辞める考えがないことを改めて表明した。
不信任案への対応については「(不信任案が)提出・可決されれば法律の趣旨に基づいて私は判断していきます。さまざまな選択肢があるのでこれから判断していきたい」と応じ、議会解散を排除しない考えも押し出した。
斎藤知事が当選した3年前の知事選では自民党県議団が分裂し、県議11人が維新とともに推したことで斎藤知事が誕生した。
11日の会見で、3年前に斎藤氏を支援した自民党県議も辞任を求めていることの受け止めを聞かれた知事は「大変、申し訳ないな、と。こういう状況になったということは申し訳ないな、という思いで、自分自身に悔しい思いではあります」と言いながら泣き始めた。
これを見た県庁内では「自民からも維新からも引導を渡され、ついに観念して辞任に応じるのでは」との見方も出た。(♯17)
だが斎藤知事の感情が揺らいだのはその一瞬だけだった。
会見翌日の12日、すでに辞任要求をしていた維新を除く全4会派と4人の無所属議員全員の連名による辞職の申入書が県側に渡され、県議86人全員からの辞職要求がそろう前後、記者団の「ぶら下がり取材」を嫌がることもなく何度も受けた斎藤知事は、そのたびに辞職をしない意志を力強く表明している。
「県職員は大変な状況になっています。片山副知事(7月末に辞職)をはじめとする“牛タン倶楽部”と陰口をたたかれた側近グループも全員が知事のもとを離れました。知事や牛タン倶楽部の指示を受け実行するしかなかった幹部らの一部も『県政がこの混乱から立ち直ったら責任をとって身を引く』と口にしています。
もはや知事を支えようとする県職員は誰もいません。それでも知事は、『辞めろ』の大合唱にもまったく聞く耳をもたない状態です」(県幹部)
実は県の中からも“軟着陸”を模索する動きがあったが、うまくいかなかったのだという。
「斎藤知事は奥さんらと神戸で暮らしてきましたが、問題が大きくなってから奥さんは神戸を離れています。その奥さんに県はアプローチを試みたと聞いています。辞職するよう知事を説得してもらいたい、というのが狙いでしょう。しかしそれもうまくいっていないようです」(県関係者)