維新の会所属議員がAさんの個人情報を一般人へ漏えい

この個人情報を巡っては、知事側近の井ノ本知明前総務部長(7月末に総務部付に更迭)が県会議員に見せて回っていたとの証言が相次ぎ、県が調査している。

他にも、同じく知事側近の片山安孝元副知事(7月末に辞職)と原田剛治産業労働部長が、いずれも見聞きして知っていると、疑惑を調査する県議会調査委員会(百条委)の場で認めている。こうした行為は個人情報保護法に違反している疑いがある。

さらに百条委では、維新の会の増山誠県議がこの情報をすべて委員会で公開せよと要求し、認められなかった経緯がある。

日本維新の会の増山誠県議(撮影/集英社オンライン)
日本維新の会の増山誠県議(撮影/集英社オンライン)
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Aさんの知人は「井ノ本前部長はAさんがメディアや警察に送った告発文書の信用性を貶めるため、個人情報を関係者に見せて回ったのです。この行為と百条委での公開要求の声がAさんを死に追い込む決定的な契機になったとしか考えられない」と指摘。Aさんの個人情報が適正に管理されていなかったことは重大な問題に発展しつつある。

さらに県職員でもない国会議員が街頭で一般の人に伝えていた疑いがわかったことで、事態の深刻さはいっそう増した。

問題の国会議員は兵庫県加古川市を地盤にする比例近畿ブロック選出の掘井健智衆院議員。発言は9月2日午前7時半ごろ、JR加古川駅の南口で辻立ちをしていた掘井議員と、知事の問題での維新の立場を尋ねた40代の男性、Fさんとの間の会話で出た。

Fさんが当時のやり取りを話す。

7月に消防のイベントに参加した掘井議員(左)と斎藤知事 (掘井議員Xより)
7月に消防のイベントに参加した掘井議員(左)と斎藤知事 (掘井議員Xより)

 「維新は知事問題をどう考えてるんですか、と尋ねたんです。斎藤知事は3年前の知事選で維新の推薦を受け、そこに自民党が相乗りして知事になったんですよね、と聞くと掘井さんは『いや、どっちかというと自民党さんが主導した』と言いながら、でも維新も推薦した責任はあると認めました。

その後掘井さんは、百条委では疑惑解明には限界があると言いながら、Aさんの告発文書は『自民党が一緒につくった』と主張したんです。さらに3月25日に片山副知事がAさんから公用パソコンを“押収した”と言い、県当局がそのパソコンから抜き出したものだとする個人的な情報の中身を話したんです。まさに『死人に口なし』。

維新が問題をどうとらえているのか、を聞いているのにそれに答えはなく、真偽不明の個人の情報を持ち出す。『一般の有権者にはこんな話でもしておけば誤魔化せる』と思っているのかと感じました」(Fさん)

駅前のやり取りで、出勤する人がそばを通るほか、掘井氏のスタッフも2、3人、声が届く近さにいる状況だったとFさんは話す。