車止めをどけろと無茶ぶりをした判断も「適切だ」

30日には兵庫県まちづくり技術センター理事長の杉浦正彦氏も証人として立ち、土木局長だった2021年9月、知事が“自分が把握していないことが報道に出た”と言って呼びつけ「机を片手で1回か2回たたいた。声を荒らげておられた。机をたたいた行為は指導として必要がない。怒りをたたくという行為で表現する必要はない。口頭で注意をすればいい」と話した。

百条委が県の全職員約9700人に行なったアンケートでは職員の69%に当たる6725人が回答。うち4568人分の中間集計では回答者の4割弱が知事のパワハラを見聞きしたと返答した。斎藤知事は「伝聞が多い」などと言いこの結果への考えを示すことを避けてきたが、実名での証言が出たことで局面は決定的に変わった。

30日午後、弁護士を伴って証人席についた斎藤知事は、アンケートで指摘されたパワハラ言動の認識を聞かれると「記憶にない」「一つ一つ覚えていない」「私も完璧な人間ではない」などと応じた。アンケート記載以上の細部をつかれることはないと判断したのだろう。

だが、顔出しの証言にはそうもいかなくなったか、苦しい答弁を続けた。

百条委で証人席につく斎藤知事(撮影/集英社オンライン)
百条委で証人席につく斎藤知事(撮影/集英社オンライン)

車止めがあると言ってキレた問題を聞かれると「当時の認識としてはそのエリアが車の進入が禁止されているとは全く認識していなかったので、当時の判断としては適切だったと思ってますけど、今振り返った時に進入禁止エリアだったら申し訳ない。大きな声で注意させていただき、職員が不快だったと思われたのなら反省し、機会があれば本人にもお詫びしたい」(斎藤知事)

進入禁止ゾーンであるとの認識が当時自分にはなかったのだから、車止めをどけろと無茶ぶりをした判断も「当時の判断としては適切だ」というのだ。

片山元副知事に付箋を投げつけたことはどうか。

竹内県議は、「知事が投げたのは『5センチ角、厚さは1センチはなかった』程度の付箋の束だったとの具体的な情報を県職員から得ている」と知事に突き付けた。

これに斎藤知事は「重要な県政課題での指示事項を片山氏がきちんと進めなかった」と言いながら「大変残念な状況がある中で、思わず卓上に向けて放り投げたのは事実です。パーテーションかディスプレイに当たった。片山副知事に向かって投げたのではない。大事な指示事項がしっかり理解いただいていなかったと厳しく注意する中で突発的に行なってしまった行動ですが、今考えれば適切でなかったので、不快な思いをしたのならお詫びしたいし、私も反省したい。束で投げたのではなく、1枚の付箋を、思わず強い思いをいだいて目の前に放り投げたんです」と弁解した。

斎藤知事が投げつけたものと同じサイズとする付箋を示す竹内英明県議(撮影/集英社オンライン)
斎藤知事が投げつけたものと同じサイズとする付箋を示す竹内英明県議(撮影/集英社オンライン)