片山氏も斎藤知事のパワハラの標的の一人だった

「知事からはかなり激しい調子で『なんでこんなところに車止めを置いたままにしてるんや』と。怒鳴られたという認識はあります。社会通念上必要な範囲とは思いません。理不尽な叱責を受けたと(感じています)」

斎藤知事に先立って証言をした野北浩三・東播磨県民局長は、昨年11月の会議の際に知事から受けた扱いを詳細に語った。

当時、会議が開かれた播磨町の県立考古博物館は入り口への車両の進入が禁止されており、車止めが設置されていた。知事は車止めから先に車が進めないことに激怒して野北氏らを怒鳴りつけ、規定違反になる車止めの撤去を命じ、野北氏らは従うしかなかったという。

「百条委に向かう斎藤知事(撮影/集英社オンライン)
「百条委に向かう斎藤知事(撮影/集英社オンライン)
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「アタマの中が真っ白になるような勢いで言われたので、とても(車止めは動かせないと)説明できる状況ではなかったです。もう少し言い方、話し方…、知事は『(パワハラではなく)指導』とおっしゃったが、とても指導の範囲内とは思えないような言い方です」(野北氏)

こんな叱責は初めて受けたという野北氏は、部下職員や別の会議の出席者に状況を話した。知事の扱いに関する重要情報だからだ。隣の西播磨県民局のトップだったAさんはこれを知り、告発文書に「出張先のエントランスが自動車進入禁止のため20mほど手前で公用車を降りて歩かされただけで出迎えた県職員・関係者を怒鳴り散らし、その後は一言も口を利かなかったという」と記した。

3月12日にメディアなどに郵送されたこの文書の存在を把握した斎藤知事周辺は、すぐに発信者を特定。3月末に予定されていたAさんの退職を認めず、県民局長職から解任し、5月に懲戒処分を与えるなど徹底的に弾圧する。同時に文書の拡散阻止にも動いた。

「3月27日に片山副知事から呼び出されました。副知事は『いまから話すことはメモするな」と言い、西播磨県民局長(Aさん)が怪文書を流したので異動処分を行なったと言いながら、私に対しては『(Aさんに)何かを話したのか』と尋ねました。会議で全員に対して話したと言うと、『あまりしゃべりすぎるなよ』というようなことを言われました』(野北氏)

Aさん処分に至る決裁文書(撮影/集英社オンライン)
Aさん処分に至る決裁文書(撮影/集英社オンライン)

斎藤知事の右腕だった片山氏も、Aさんの告発文書で違法疑惑の中心人物と目された一人。7月末に副知事職を辞したが、百条委の重要調査対象となっている。その片山氏も、斎藤知事のパワハラの標的の一人だったことが発覚した。

「8月23日に非公開で行われた県職員の証人尋問で、斎藤知事が県最高幹部に文房具を投げつけたのを見た、との証言が出ました。これは具体的には片山副知事に向かって付箋が投げつけられたということです」(百条委メンバーの竹内英明県議)