周辺アイテムにも手を抜かない

良品計画は商品開発力も強く、それが消費者を惹きつけてもいるのも間違いない。商品力の強さが発揮されたのが売れ行き好調のレトルトカレーだ。

衣類や家具、雑貨はブランド選好度が働きやすいが、食品はそうはいかない。美味しいか美味しくないか。シンプルなその要素が重要だからだ。どんなに洗練されたブランドの食品でも、美味しくなければ2度目の購入はない。

無印良品のヒット商品であるバターチキンカレーは、2024年で6代目を迎える。初代は2009年で、かなりのロングセラーだ。

5月15日から発売されている6代目バターチキンカレー。撮影/集英社オンライン編集部
5月15日から発売されている6代目バターチキンカレー。撮影/集英社オンライン編集部
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初代を開発していた当初、無印良品はこの場所でしか買えないカレーを販売しようと、ハバネロカレーやイカ墨カレーのようなエッジを利かせたものを扱っていた。

しかし、奇をてらったものは万人受けしない。そこで、無印良品でしか買えず、マス層も狙えるものの開発に着手した。

当時、バターチキンカレーは日本ではメジャーな食べ物ではなかった。それを日本人好みの味に仕上げ、ヒット商品に押し上げた。バターチキンカレーそのものを国民に知らしめた商品としても知られている。

2012年からはインドやタイへと出向き、現地の味を学ぶようになって味を洗練させるというこだわりようだ。

こうした創意工夫を重ねて、無印良品は約7000点もの商品を扱っている。主力の衣類や家具、雑貨以外の食品という分野においても、徹底的な消費者目線で商品開発を行っている。こうした企業の姿勢も、ブランドの発展に手を貸しているのだろう。

取材・文/不破聡 サムネイル/Shutterstock