〈定年4.0時代到来〉中高年が知るべき労働市場の4つの変化…「人材不足の分野の仕事しか高齢者には選択肢がない」現状に抗う術はあるのか?
AIによる自動化、デジタル人材不足、70歳までの継続雇用など、中高年をとりまく労働環境の変化が厳しさを増している。日本の平均寿命が延びて「人生100年時代」と呼ばれる現在、まだまだ働ける中高年の将来の選択肢を増やすために、何をどう変えていけばよいのか。
『中高年リスキリング これからも必要とされる働き方を手にいれる』(朝日新書)より、一部抜粋・再構成してお届けする。
『中高年リスキリング』#1
労働寿命と雇用寿命を延ばす必要性
2023年にWHOが発表した世界保健統計において、日本は平均寿命、健康寿命ともに世界ランキング1位となっています。人生100年時代、健康寿命が今後延びていくことを前提にするならば、生活する時間も、働くことが必要な時間も長くなると考えられます。
次に考えるべきは、労働寿命と雇用寿命について、です。あえてここでは2つを明確に分けて考えたいと思います。労働寿命は働くことができる時間、雇用寿命は企業などの組織に雇われる時間、を指すこととします。
万が一、雇用されることが難しい場合でも、自分から個人事業主やフリーランスとして働くことができる場合は、労働寿命を延ばすことができます。
以上のことを考慮すると、究極的には、雇われることを前提にするのではなく、自分で自分の仕事を「創る」ことで、労働寿命を延ばす努力をすることが、今後安心して生活していくためには必要だと考えられます。
文/後藤宗明 写真/Shutterstock
『中高年リスキリング これからも必要とされる働き方を手にいれる』(朝日新書)
後藤宗明
2024/8/9
990円(税込)
272ページ
ISBN: 978-4022952653
40代でクビを3回経験し、書類選考や面接で落とされた数は100社以上、そんな現実をリスキリングで打破! 自らも40歳を過ぎてから取り組んだ実践者でもあるリスキリングの第一人者が、中高年が直面するリアルな課題に応えます。
AIによる自動化、デジタル人材不足、70歳までの継続雇用など、中高年をとりまく労働環境の変化が厳しさを増しています。
特に影響が大きいのが、ヘルスケア、金融、会計、法務等、様々な業界や職業に特化した生成AIサービスの誕生です。
人間の労働が代替される「技術的失業」が起きる未来に備え、将来の選択肢を増やすために、何をどう変えていけばよいのか。
著者の実体験なども紹介しながら、より長く働き続けるために今なすべきことを解説します。
【目次】
第1章 定年4.0時代のリスキリング
1.現実味を増す「定年4.0」の世界
2.AIリストラに備えよ!
【リスキリング体験談①】
「夢に向かって」高校教師から次世代金融システムの起業家へ(荒澤文寛さん)
第2章 リスキリングで労働寿命を長くする
1.定年4.0の時代に労働移動を実現する
2.リスキリングにどう取り組むか
3.AI時代に求められる「学際的スキル」
【リスキリング体験談②】
生活保護を乗り越えてシステムエンジニアへ(城間ちあきさん)
第3章 リスキリングを開始・継続するために
1.定年後に向けて40代から始める「5つの投資」
2.「スキルと学び」に投資し、IDスキルの形成を目指す
3.「健康」に投資し、労働寿命を延ばす
4.「お金」に投資し、リスク許容度を上げる
5.「人間関係」に投資し、チャンスを増やす
6.「仕事」に投資し、将来の選択肢と可能性を広げる
7.「リスキリングは何から始めたらよいか?」