個性が強かった昔の選手と比べて…… 

「まず選手は、予選を全勝したからと言って変に勘違いするのではなく、不安を感じながら戦うことが大事だと思います。慎重に戦う部分と、大胆にいけると思う部分、この両方がないといけない。『全部イケる!』と思うと、落とし穴にハマってしまうことがあるので。

また、決勝トーナメントではFWの細谷選手がキーになると思っています。彼は身体を張ってキープしたり、相手DFの裏抜けなど、いろんなことができすぎちゃいますが、本来はチャンスメーカーではなく、フォワードとして点を取る、ゴール前の駆け引きに注力する時間があってほしいですね。

彼が点をとれば、間違いなくメダルにつながると思っています。3戦目のイスラエル戦でようやく彼に点が入ったのは、期待できる1つの要素です」

橋本氏がキープレイヤーに上げる細谷真大 写真/JMPA
橋本氏がキープレイヤーに上げる細谷真大 写真/JMPA

現役時代は、黄金世代の個性的で主張が強いメンバーとともに戦ってきた橋本氏。今大会のパリ五輪世代は、そうした強烈な個性をもった選手より調和を保つ選手が多いように感じるが、こうしたメンバー選考もこれからの苦しい戦いでカギになるのではないかと話した。

「現在のアンダー世代を見ていると、JFAの指導方針で、『全員がリーダーだ』という教育方針が落とし込まれてきて、みんながそれぞれ自立してサッカーをしているように感じます。“11人でサッカーをやる”という考え方が昔より増えたのではないでしょうか。

以前は宮本恒靖さんや長谷部誠など強烈なリーダーシップを持った選手がいました。今大会ではまだそこまで苦しい状態になっていませんが、そうした逆境に陥った時にどうするのかという不安はありますね。もしこの先うまくいかなかったら、結果論でそのトピックが出るかもしれません」

なにはともあれ、まずは決勝トーナメント初戦のスペイン戦。このチームが“歴代最強”かどうか、メダル獲得すれば、それが証明されるだろう。本当の意味で試される戦いが始まる。

取材・文/集英社オンライン編集部