サッカー男子日本代表の大きな懸念点

世界各地の予選を勝ち抜いた国々と、開催国のフランス、合わせて16か国が出場する今大会。日本はパラグアイ、マリ、イスラエルと同組のグループDに入った。

フランス、アルゼンチン、スペインといった突き抜けた強豪チームがいない組とあって、実力は均衡。白熱した戦いが予想されるが、日本が予選を突破する可能性は十分にあり、勢いに乗ればメダルの獲得も期待できる。

ただ今大会、日本代表には大きな懸念点がある。出場国で唯一、オーバーエイジ枠(以下、OA)を使用していないのだ。

五輪のサッカーは原則として23歳以下のみが出場できる、U-23の大会だが、ここに例外として、各チーム3人まで、年齢制限を超えた選手起用ができるのがOA枠だ。

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まだ経験が少ない若いチームにとって、この枠は非常に重要で、実際にこれまでの大会でもOAの選手が数多くの功績を残している。

直近3大会を見ると、日本代表は2012年のロンドン五輪で当時28歳のDF徳永悠平と、同じくDFで23歳の吉田麻也を起用(吉田は出場時23歳だったが、「五輪開催前年の12月31日時点で満23歳以下の選手」という規定のため、オーバーエイジ枠となった)。

2人の鉄壁の守りによって、日本代表はこの年、44年ぶりにベスト4にまで駒を進めることになった。

2016年のリオ五輪では、本田圭佑、香川真司、長友佑都など当時欧州でバリバリ活躍していた選手の招集が期待されたが、呼ばれたのはJリーグに所属する当時27歳のDF藤春廣輝、同じく27歳のDF塩谷司、そして30歳の興梠慎三だった。

これは、ケガや疲労などの懸念から、選手の五輪出場に難色を示すクラブチームが多く、海外の人気クラブの主戦力だった本田や香川らを呼ぶことができなかったと言われている。

国内組の興梠らはチームに多大な貢献をしてくれたものの、結果は予選リーグ敗退。残念ながらいい結果に結びつかなかった。

そしてこの年は母国開催ということで、クラブから特例でOA枠として参加が認められたネイマール率いるブラジルが優勝。OA枠を有効活用し、悲願の初金メダル獲得となった。