タクシー運転手たちの嘆き
利用者が複雑な交通ルールに戸惑う一方で、乗客の安全に最大限配慮しなければならないタクシー運転手にとってもキックボードは新たな悩みのタネだ。乗降客数世界一のターミナル新宿駅のロータリーで客待ちしていたタクシードライバーのみなさんに、思いの丈を聞いてみた。
「昨年くらいから電動キックボードに乗っている人がどんどん増えてきているように感じます。正直、邪魔だなぁとか危ないなぁと思うことはしょっちゅうありますよ。
今後、電動キックボードがもっと普及していったらタクシーの売り上げ低下にも繋がりそうだし、タクシー運転手の立場からするとデメリットしかないですね」(50代男性)
「利用者は学生さんや20代前半くらいの若い人に多いです。あと、通勤時に使っているサラリーマンもよく見ますね。
安全に乗ってくれる分にはいいけど、急に飛び出してきてくる人やイヤフォンをつけながら走っていて車に全然気づかない人も多いから、交通ルールは守ってほしいです」(40代男性)
「午前2時頃になると終電を逃した酔っ払いがよく乗っていますね。特に新宿はそういう人が多いです。酔っ払って2人乗りをしている人もよくいます。
飲み会帰りっぽい大学生風がよくそういう馬鹿なことをしてるよ。この前なんか、酔っ払ってフラフラ運転している人にぶつかられそうになって、ヒヤッとしたよ!」(60代男性)
「最近は電動キックボードの利用者のマナーの悪さについて、タクシードライバー仲間でよく話題になります。逆走している人や道路標識を無視する人、車道の内側を堂々と走る人…。挙げ出したらきりがないくらいです。今後はより一層、取り締まりを強化してほしいです」(50代男性)
「狭い道で急に近づいて来られて、電動キックボードのハンドルを車体にぶつけられたことがあります。幸い、車に傷がつかなくてよかったです。住宅街や飲屋街の狭い道でもおかまいなくすごいスピードで爆速している人もよくいますね」(40代男性)
「このあいだ信号待ちしていたら、車の脇を縫うように通ってきてそのままぶつけられたよ。怒ろうとしても信号無視されてどこかに逃げられたし、ナンバー見ようにもナンバープレートが小さいから数字もよくわからなかった。本当に勘弁してほしい」(60代男性)
2人乗りや飲酒運転、安全を確保できない状態での走行はもちろん御法度だ。電動キックボードは乗り方によっては凶器にもなり得る。利便性の享受はルールを守ってこそという当たり前の常識を、いま一度思い起こすべきだろう。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班