違反者講習の実態
しかし、2回目は反則金だけでは済まなかった。
「3年間で2回違反すると、講習を受けない場合は罰金5万円も支払わないといけないんですよ。それもイヤなので講習会に参加することにしました。ただ、違反から呼び出しまで時間があって、違反者講習会は7月の上旬に警視庁本部でありました。ドラマでしか見たことない場所なので緊張しましたね。
午前8時40分ごろに到着し、受付で6000円を払うと大部屋に通されました。出入り口には警察官がいて、庁舎内を自由に移動できないようになっていて少し監視されている空気を感じました」
大部屋には60人ほどの受講者がいた。
「ほとんどが20代の若者で髪の毛も明るくチャラい私服姿で、スーツの人は1人もいないし、和彫りの刺青男がいたときはビビリました。女性は1人で、胸を大きく開けたノースリーブ姿でスッピンで、ダルそうにしていました。
講習は午前9時スタートで、受講者全員に通し番号が割り振られ、教官には名前ではなく番号で呼ばれました。交番に遺失物を届けたときに対応してくれた警察官とは違う、少し厳しい雰囲気だったので、改めて『バカなことしたな』と強く思いました」
講習の内容は、ヘルメット装着の重要性を説くビデオに続いて選択式の小テストがあり、答え合わせの解説の際も受講者は番号で呼ばれたという。
「何人かは『もっと大きな声でお願いします』と注意されていましたね。途中10分程度の休憩があったのですが、その間は誰も話をせずシーンとしていました。運転免許証の違反者講習より暗い、よどんだ雰囲気でした。
でも刺青のにいちゃんも含めて全員がちゃんと聞いていましたよ。教官から『終了予定は正午だが、皆が真面目にできたら早めに終わる』とか『居眠りをしていたら居残りさせる』と事前に言われていたのが効いたんじゃないですか。
終了後は10人ずつ警察官に連れられて庁外に出ましたが、本当に『やっと終わった』って感じでした。席が隣だった柄シャツの若者が『すいません、タバコ吸えるとこありますか?』と出口の警察官に聞いて『ありません』と素っ気なくされてて笑いました」
ルールは理解したものの、違反者講習の辛さが身に染みた寒川さんが電動キックボードに乗ることは、しばらくなさそうだ。