「立憲は選挙のやり方を忘れている」

今回、蓮舫氏は内容と話術に工夫を加えた演説で聴衆を引き付けた。

「私は演説を一回一回バージョンアップしました。夜中に自分の演説を聞き直し、内容を足したり引いたりしました」とも述べ、内容で勝負をしたとの思いを敗戦後も語っている。

だが、質が高くとも演説は1日に1~3回と限られたものになった。これに対し石丸氏は17日間の選挙戦で200回以上の演説をこなし、28万人がチャンネル登録をしているYouTubeチャンネルやSNSを駆使して拡散を続けた。

開票センターでは、この点について記者から「演説が石丸さんより大幅に少なかった」「少なすぎるという批判はどう受け止めるのか」と質問が飛んだ。この批判を受け付けない蓮舫氏は「私は1回1回の演説に自分の渾身の思いを込めて訴えました。やり切ったと思ってます」と正面から反論している。

居並んだ議員らは大きな拍手を送って蓮舫氏の考えを支持したが、党のベテラン秘書は、蓮舫氏と、最大の後ろ盾で選対を取り仕切った手塚仁雄衆院議員のとった戦術はおかしいと批判する。

会見を終え一礼する蓮舫候補、左奥は手塚衆院議員/集英社オンライン撮影
会見を終え一礼する蓮舫候補、左奥は手塚衆院議員/集英社オンライン撮影
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「戦術でいうと手塚さんのやり方が間違っていたと思います。立憲が選挙のやり方を忘れている。例えばですが、空中戦と、それこそ思いつきの街宣ばかりで地上戦ができていなかった。組織を締める。個別の地方議員に泥臭く頼み込む。そんなやり方ももう忘れている。

小池さんはもちろん、石丸さんの参謀も地上戦が得意な人で、議員をまとめ口コミもどんどん広げさせた。蓮舫さんはそのあたりがまったくできていなかった」(ベテラン秘書)

落ち目の岸田首相を追い詰め、政権交代を一気に引き寄せようとした立民の内部では、情勢悪化が伝えられた時から「蓮舫氏が3位なんかになったら次の衆院選で公認を出せないぞ」との声も上がっていた。その事態が現実になった。

首都決戦大惨敗の後遺症は重く、党の混乱は続きそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班