置き配サービス導入も利用客はほぼなく

発足当時は、該当エリアの全ドライバーを対象に説明会を開き本社側がメンバーを指名するという熱の入れっぷりだった「クール部隊」だが、今回の解体の報告は、本社はおろかセンター長からもいまだにないという。前述の千代田区のドライバーはこう肩を落とす。

「昨年はあれだけ『クール部隊を立ち上げる』とか息巻いていたのに、トラブルが多発して解散することになっても、ドライバーたちにはなんの報告もない。

当然、分業制をやっていない地方のドライバーたちの人はいまだにCDが解散したことを知らないだろうし、僕自身も、CDだった先輩が帰ってきて初めて気づいたわけですから……。

結局、そういう対応をされると『本社は失敗を全部なかったことにしたいのかな?』と心配になるし、現場を知らない本社の連中への不信感に拍車がかかりました」

ヤマト運輸の営業所(本文の内容とは関係ありません)
ヤマト運輸の営業所(本文の内容とは関係ありません)

一方で、ヤマト運輸では「分業制」と入れ替わるように6月10日から「置き配サービス」がスタート。

もともとAmazonやZOZOTOWNといったネット通販の注文品のみ置き配の対象だったが、新たなサービスとして冷蔵・冷凍品や着払い品をのぞく「宅急便」も可能になった。

ヤマト運輸の無料会員サービス「クロネコメンバーズ」に登録しているユーザーなら誰でも利用でき、玄関先のほか、車庫や自転車カゴにも置き場所を指定できるとあって、ドライバーの負担軽減にも繋がるのではと期待されている。

だが、「そもそもサービス自体が認知されていないので、正直、何も変わりません」と言うのは、前出の新宿区のドライバーだ。

「サービス開始以降も、1日に100個以上のドライ(宅急便)を配っていますが、置き配は10個もないですね。結局は対面で受け取る人がほとんどで、不在票を入れたり再配達に回ったりといったルーティンは変わっていません。

そもそも高齢のお客さまはインターネットに疎く、無料会員サービスの登録方法すらもわからない。

もちろん『荷物を盗まれたら嫌だな』という思いからサービスを利用しない人もいるかもしれませんが、若者もふくめて置き配サービスがあることを知らない人が圧倒的に多いんです。ほかの担当エリアの同僚もみんな『宅急便の置き配は一日に数件程度しかない』と嘆いていました」