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クロネコメイトには再配置の打診がなく……

「昨日(2月1日)はウチのセンターにも重い空気が漂ってましたよ。メイトさん(クロネコメイト=小型荷物の配達を委託されていた個人事業主のこと)とは気まずくて、『これまでお世話になりました』とか『またお茶でもしましょう』くらいの軽い挨拶で終わりましたから……」

そうため息をつくのは、関西エリアで長年パート社員として働いている女性だ。

ヤマト運輸は日本郵便との協業に伴い、ポスト投函が可能な小型荷物配達サービス「クロネコDM便」を今年1月末に終了させた。これによって、このサービスの配達業務を担当していた個人事業主(クロネコメイト)2万5000人と、仕分け業務をしていたパート社員約3150人が契約終了となり退職した。

パート社員に関しては、当初、約4500人すべてが契約終了する予定だったが、茨城県土浦市にあるベース店(=ターミナル拠点)で働くヤマトのパート社員18人が労働組合を結成し、10月16日に団体交渉を行なうと、ヤマト本社は対応を一変。パート社員の契約終了を見直して全員の希望を確認する方針となり、うち1350人が社内に再配置というかたちでヤマト運輸に残ることとなった。

しかし、クロネコメイトたちには、そのような打診はなかったようだ。冒頭の女性パート社員は言う。

ヤマト運輸(撮影/集英社オンライン)
ヤマト運輸(撮影/集英社オンライン)
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「ウチのセンター(宅急便センター)でも昨年の11月ごろに本社の対応がガラリと変わって、私たちのようなパート社員には配置転換の相談がありました。でもDM便に携わるメイトさんへの対応は一切変わらず……。結局、ウチも10名ほどのメイトさんが契約を打ち切られました。

通常、誰かが辞めるときは飲み会やご飯会が行われるんですが、昨日はそうした雰囲気は一切ありませんでしたね」

クロネコメイトは50~60代も多く、新たな働き口を見つけることに不安を募らせる人も多かったという。

「『この年齢で雇ってくれるか不安だ』とか『新しい職場でまた一からで溶け込めるだろうか』と不安を口にされる方もいました。メイトさんの中には、ここのお給料で親の介護費や子どもの学費を出している方もいましたし……。

なによりここで休憩時間に同僚とおしゃべりすることを楽しみにしてた主婦のメイトさんも多く、あるメイトさんは『みんなと離れ離れになるのが寂しい』と言ってましたよ」