コスプレ衣装は200着以上
――しかし、「まぼろし博覧会」は甲子園球場のグランド面積並の広大な敷地。どうやって手に入れたんですか?
ここは「伊豆グリーンパーク」という熱帯植物園の跡地なんですが、閉館後、約10年間もそのまま放置されて廃墟となってました。ここを見たときに水滸伝に出てくる「梁山泊(りょうざんぱく)」みたいでいいなぁと思って、土地の所有者と7年間くらい交渉してやっと売ってもらえました。
――ずいぶんと長い交渉期間ですね。
土地の所有者は植物園を閉園後、沖縄の石垣島で事業をしていたんです。その方はものすごくお金持ちだから、そういった交渉には興味がないし、売るのも面倒くさかったんでしょうね。だから、不動産屋さんと一緒に石垣島まで2回行って交渉したんです。
――そうして手に入れた趣味全開の楽園。館内の雑草や展示物についている埃や汚れがそのままにされているのも雰囲気があります。
あえてですね。掃除をする意味はないと思っています。朽ちるものは朽ちていけばいい。その過程もお客さんに見てもらってます。
――そのまぼろし博覧会のメインキャラクターを務める「セーラちゃん」こと鵜野館長。なぜそんな珍妙な格好をしてるんですか?
かしこまった格好でお客さんを出迎えても、仲よくなれないでしょう。だから来園者を楽しませるためにセーラー服を着て案内してたら、Twitterで「セーラちゃん」と名付けられて(笑)。衣装は200着以上あるかな。ビキニとかも着ますよ。お客さんが着られなくなったからって譲ってくれるんです。
6月はジューンブライドということで、週末はウェディングドレスを着て園内を回ってますので、見つけたらお姫様抱っこしてください!
あ、そういえば、ここで結婚式を行ったカップルが2組もいましたね。
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来園者からこんなに愛されるテーマパークもなかなかないだろう。少々変わった愛かもしれないが。舞浜の某テーマパークも6月6日に新エリアがオープンして話題を呼んでいるが、こちらも6月9日に新たに「赤ちゃんのメルヘン館」が完成。今後もまぼろし博覧会の進化から目が離せない。
取材・文・撮影/集英社オンライン編集部ニュース班