鵜野氏が手掛けたテーマパーク事業の歴史
――社長を務めている出版社ではどのような本をつくっているのですか?
データハウスという社名で、当初は「思想ではなくて、データを世に出そう」という思いで本をつくってました。最初の頃は『田中角栄 最新データ集』といったデータ本だったり、犯罪の方法が解説された『悪の手引書』という本だったり、とにかく素人ががむしゃらにつくったって感じのものですね。
その後、40万部も売れた『洋子へ 長門裕之の愛の落書集』といったタレント本や業界の暴露本、漫画やアニメの研究本なんかもシリーズで出しました。90年代中期くらいからは青山正明という編集者の企画からアウトローカルチャーをテーマにした『危ない1号』という本も出しました。
――“鬼畜系ブーム”を生み出したといわれるムック本ですね。そういった売上が「まぼろし博覧会」の運営資金に?
いえいえ。銀行で借りたお金をぼちぼち返しながらなんとか続いています。私はそもそもビジネスに興味がないんです。お金を儲けたって何に使うの?って話だから。やりたいことのためにお金はほしいけど、別に個人でお金なんていらないし、貯めるつもりもありません。
――出版社社長がテーマパーク事業を手掛けるようになった経緯を教えてください。
1996年に『野生ネコの百科』というトラからヤマネコまで、全38種の野生ネコ科動物を完全網羅した図鑑を作ったら2万部も売れたんですよ。でも図鑑は写真と文字じゃないですか。だったら現物の標本も集めてようと思って、「ねこの博物館」をオープンしました。
――同じ伊東市にある「ねこの博物館」は現在も営業中で、「まぼろし博覧会」とセットで訪れる観光客も多いそうですね。
次に思いつきで「ねこの博物館」の近くに「ペンギン博物館」をつくりましたが、人が来なくて5年で閉館してしまいました。
その後、熱海にいろいろなおもしろい文化を集めた「熱海博物館村・ふしぎな町一丁目」というテーマパークをつくりました。あの村上春樹さんも取材に来たんですよ。
――それはスゴイ……!
こちらも2003年に閉館しますが、展示物の一部を「ペンギン博物館」の跡地に新しく開いたレトロテーマパーク「怪しい少年少女博物館」に移したんです。これが「まぼろし博覧会」の元になります。
でも「怪しい少年少女博物館」は狭くて展示物がいっぱいになったので、新たな土地を購入し、2011年に「まぼろし博覧会」をオープンしたというわけです。