それでも総裁選に出馬する気満々の岸田首相
そうなると、次に注目されるのは9月の自民党総裁選だ。
衆議院議員の任期満了が2025年10月であるため、1年以内に衆院選が迫るなか、誰をトップにするのかが自民党内で問われることになる。
次の総裁候補をめぐっては、小泉進次郎、石破茂、河野太郎3氏の「小石河」や新たに勉強会を立ち上げた高市早苗氏なども注目されているが、ここにきて浮上してきているのが加藤勝信前厚労相だ。
6日夜には都内の日本料理店に菅義偉前首相、加藤氏、小泉進次郎氏、武田良太氏、萩生田光一氏が集まり顔を合わせた。
菅グループと、武田氏が事務総長を務めてきた二階派は岸田政権における非主流派で、萩生田氏などが率いてきた安倍派は裏金問題で大ダメージを受けているわけだが、政権運営から外れた面々が集まり「岸田おろし」を画策しているのではないかとも見られている。
そして、そうした面々に担がれるかもしれないのが加藤氏というわけだ。
加藤氏は茂木派だが、茂木氏とは総理総裁を目指すライバル関係にあり、仮に出馬となれば、茂木派から退会した反茂木の面々も加藤氏側につくと見られる。
「茂木氏は今もグループのトップであることを武器に総裁選に出馬するタイミングを伺っているが、自民党内でも『人望がない』と評判で、岸田氏に代わって総理になったとしても支持率が上がる展望が描けない。
また、高市氏や『小石河』は我が強く、衆目が一致する候補にはなりにくい。一方で加藤氏は地味ではあるが、安定した実務能力があると評判で、非主流派が集まって担ぐにはちょうどいいのではないか」(永田町関係者)
一方の岸田首相だが、官邸周辺によると「本人は総裁選に出馬する気満々で、再選した後にどんな政策を実行すべきか考え始めている」という。
しかし、政治は一寸先は闇だ。支持率回復の展望が開けない今、今後の政局によっては退陣を余儀なくされる可能性もあり、「その場合には同じ岸田派の上川陽子外相を担いで禅譲するような形を取るのではないか」(永田町関係者)とも言われている。
「増税メガネ」に裏金問題が重なり、逆風を押しのけることができない今に至る岸田政権。自民党もこれまでにないほどの大逆風を受けているだけに、単に人気者をトップに据えるような小手先の対応では、この苦境を打開することはできないだろう。
文字どおり党をゼロから再生させるような新たなリーダーを立てることができるのかどうか、今、自民党が問われている。
取材・文/宮原健太
集英社オンライン編集部ニュース班