むしろこれまでが奇跡の価格
仕入れ価格の上昇が解消されれば、値上げの必要はなくなる。
だがロシア・ウクライナ戦争の終結や、日本の財政が健全化するといった見通しは立っていない。今後、リーズナブルなステーキ店はどうなっていくのだろうか。
「店舗周辺で働いている人の所得基準が高いなど、特殊な店舗は残る可能性はありますが、全体としては減っていくでしょう。
また、業態変更による生き残りを模索する可能性もあります。低価格のステーキ専門店が高級レストランに転換するには内装の面でも難しいので、粗利ミックスができるメニュー幅を増やし、業態に幅を持たせるケースも考えられるでしょう。
ただ、輸入業者からは仕入れ価格が今後5年でさらに1.5倍になるという話もよく聞きます。適正な原価率・粗利率で販売した場合、現在2,000円のステーキは2030年までに3,000円になるということです」
10年前のように、贅沢なメニューに戻りつつあるステーキ。価格が1.5倍となり、我々庶民の所得もアップしないというのであれば、ランチで気軽にというわけにはいかない。
むしろこれまでの約10年間、リーズナブルな値段でステーキが食べられたことを感謝したほうがいいのかもしれない。
文・取材・いきなり!ステーキ写真/福永太郎
取材協力/堀部太一(外食・フードデリバリーコンサルタント)
イメージ写真/shutterstock